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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第4章 岩瀬加奈
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18 自分からは言えない

どうぞよろしくお願いします。

 森林公園に行くためにロビーに集合。

 さえ先生がとも先輩を見る目が険しい。

 確かに川上先生のお気に入りのシャツを羽織っているとも先輩はかわいい。



「えっ、帝のシャツ!? トモちゃんやるー!」


 ゆかり先輩が笑う。


「笑い事じゃなく。カーディガンが返ってこなくてこうなってんじゃ」


「男性の夢ね。彼女に自分のシャツを着せるのって」


 さくら先輩まで言うから、とも先輩は赤くなってから、ため息をついた。


「うう……、なんでこんな辱めを……」


「でも、似合ってるよ」とあき先輩。

「うん、トモ、かわいいよ」とまゆみ先輩。


「そーいう問題じゃない気がする……」


 確かに、さえ先生の目が、怖い……。

 田中先生がとも先輩を見て言った。


「カーディガン、クリーニング間に合わなくて災難だったな」


「はい、あのカーディガン、今日の長袖で着ようと思っていたから」


 田中先生ととも先輩の会話で、鈴永さん達はこのシャツの理由がわかったようで納得したような表情になった。

 それでも無表情で目だけ怖いさえ先生。

 なんか上機嫌そうな川上先生とかなり不安そうなとも先輩。

 そしてバスは出発した。



 森林公園に到着して、全体で写真を撮った。バスの運転手さんが撮ってくれて、とも先輩とまゆみ先輩のスマホで撮ってもらい、それぞれのlineに流してもらうことに。

 それから自由散策になったんだけど。

 あき先輩が「私とマユミがトモといるし、こっちにはさおりんもいるから。かなちゃん、中学生の方で遊んでくれば?」と言ってくれる。


 中三が鈴永さんと小野田さん。中一がまいちゃんとかのんちゃん。中二が山田さんと藤本さん、だっけ?

 鈴永さんと小野田さん、だいぶ刺々しくなくなってきてたので、普通におしゃべりできて楽しい。

 中学生で散策して、ボートに乗ってみよう! となり、田中先生が付き添ってくれることになる。

 さえ先生は川上先生を見つめている。私がここにいるのに気づいて! 声かけて! って……。

 川上先生は高校の方と一緒に行くことにしたみた。

 とも先輩もいるけど、あき先輩にまゆみ先輩もいる。ゆかり先輩達も高校の方と行くって。

 さえ先生は……、声かけてくれるの待ってるんだ。きっと。

 周囲がどうするか決まって行くのを気にしながら、でも、自分からは言えない。誰かがきっと誘ってくれると……。

 でも、鈴永さん達も、もう声をかけない。川上先生もね。

 田中先生が「自分で動くしかないんだがな……。それで断られてもさ」と呟いた。


 さえ先生は……、突然くるりと回れ右をしてどこかへ歩いて行ってしまう。

 プライドなのかな。

 自分から『一緒に!』って言えないの。

 ちょっと意味は違うかもだけど、私も自分からって言えない方だから……。

 苦しさとか、寂しさとか、心の痛さとか……思ってしまった。大人でも、痛さは同じだよね。

読んで下さり、ありがとうございます。

さえ先生、何しに合宿来たん?

まあ『先生』という意識が元々ない人ではあったんでしょうね。

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