1 深窓のお嬢様
どうぞよろしくお願いします。
お待たせしました。やっとこっちに戻って来られた。
中二の岩瀬加奈ちゃん視点です。
文芸部のみんなでクリスマス会をすることになった。
高三のゆかり部長、高一のとも先輩、中三のさおりん先輩、そして私、中二の岩瀬加奈の4人だけの弱小文芸部。
中一の時、クラブ紹介で中三の朋佳先輩、今はとも先輩って呼んでるけど、見て、ひとめぼれっていうのかな。すっごく素敵なの。深窓のお嬢様って感じ?
今まで読んできたお話しのお姫様とかお嬢様ってこんな感じじゃないか? って思った。
読書は好きだったから、何とかなるかな? と文芸部にと入ってしまった。
でも、大正解!!
文芸部の先輩はとても優しくていい人ばかり。
私が入った時の高三の史子部長もちょっと変わってるけどいい人だったし。
今年度の文化祭から自然科学部とコラボっていう話になって、なんか自然科学部と一緒に行動することが増えた。それも面白いけど。
なんか自然科学部とのフィールドワークの時、自然科学部の方にいるとも先輩のお友達のまゆみ先輩と助手のまり先生となんか揉めたってとも先輩が泣いちゃったりした。
そんなとも先輩を見たのが初めてで……。ドキドキした。とも先輩もこんな風に泣いたりするんだ。
うーん、憧れって言うか、『推し』って言うか……。
こんな人になりたいっていうんじゃないし、なんかそばにいて見ていたい人、なんだよね。きれいな花とか使いこむことで育つ芸術品とか……、見守りたい、守りたいっていうのに近い気がする。
でもね、仲良くなったら、すごくやさしいし、見た目と違ってけっこう芯があるというか、ちょっと言うことが鋭かったり、そんなギャップもけっこう素敵。
クリスマス会はとも先輩のお家へ行くことになったので興奮している。
私が中一の時、文化祭の打ち上げがあったんだけど、私、家の都合で参加できなかったから。
さおりん先輩と待ち合わせて、タワーマンションに来て、きゃーってなった。
すごい!
やっぱりお嬢様!? お嬢様だよね!?
まあ、うちの学院に通ってる時点で、まあ、お嬢様なんだろうけど。
あ、私は違うよ。
うちは昔から酒屋なの。店は小さいんだけど、倉庫っていうか、問屋みたいな方が主力で。ひいおじいちゃんが全国の珍しい酒造会社に伝手があって、手に入りやすいっていう関係がある。おじいちゃんお父さんもそれをしっかり引き継いでて。だから、それを目当てにメーカーを通さずにうちを通してビールとか買ってくれるお店が多いんだって。
でも、酒屋自体は家の下でおばあちゃんとお母さんがやってるような小さな店だし、私も店番したりするし、全然お嬢様って感じじゃない。
さおりん先輩が電話すると、エントランスの向こうに手を振るとも先輩。
わ、私服可愛い!
ロングスカートっていうか、ジャンバースカートっていうの?
すらっと見えて、かわいいのに大人っぽく見える。
『月の宮』って呼ばれているの知ってる。
うちのクラスの副担をしている川上先生が『帝』で、だから『月の宮』らしいってこととか。
確かに川上先生はとも先輩のこと、とても気にしているように感じることがある。お気に入りの生徒……ってだけなのかな、とも。
「かなちゃん、さおりん。いらっしゃい!
もう、ゆかり部長、来てるよ」
読んで下さり、ありがとうございます。
連載を休んでいる時に、ブックマークを外さず待ってて下さった4名の方、どうもありがとうございます。
それから、第3章までで評価をしてくだった方がいて、とてもうれしかったです。
ランクインの知らせが来てて、びっくりしました。
これからもどうぞよろしくお願いします。




