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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第3章 若宮朋佳
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34 今の私

どうぞよろしくお願いします。

この話で第3章は終わりです。ちょっと長めになっちゃった、です。



 9時過ぎには風呂に入り、10時前「おやすみなさい」と自分の部屋に引っ込んだ。

 机の上に伏せていたスマホを見るとすでに1回着信があって「フライング!?」と突っ込んでしまった。

 茶封筒を学校カバンから取り出して、ベッドに入るように座る。

 明日の文芸部のクリスマスパーティーのことを考えていると10時ぴったり、スマホが震え出した。

 今度は通話だけをタップして、耳に当てた。


「はい」


『早いけど、メリークリスマス』


「はい、メリークリスマス。

 手紙とプレゼント受取りました。

 プレゼントはまだ開けてないけれど、手紙は読みました。

 学校もしばらく休みだし……、電話で話すればいいですよね」


『やっぱりな。

 開けてくれてない、気はした』


 苦笑し洩れる息の川上先生の声。意識が通話の向こうの先生の様子に集中してしまう。

 どこにいるんだろう?

 声を聞くとなんだか……、ほっとしてしまうし、なんだか会いたくなる。

 それを隠すようについつい口調がきつくなる。


「だって、貰っていいものか判断つかない。

 まず聞いていい?

 タロット占いの時、占った相手って誰?」


『わかってたんじゃないのか?』


「いや……、私かもと思いながら、自信は持てなかったし。

 真理先生との話で、自分に都合よく考えてたのかもと、考えを改めました」


『本当に何言われたんだよ』


「……ファイルがありまして、川上健司君の中学校くらいからの話をたくさんの写真付きで……。

 ずいぶんとおもてになったようで、大学まで次から次へ彼女が途切れることがなかったとか。……私に似ている雰囲気の人が多いようなことも言われて。

 川上先生は私の外見が好みなんだって……」


『……まあその通りだけど』


「その通りなのかいっ!?」

 

 心の声が飛び出してしまった。


『しょうがないだろ。朋佳を、その時は名前もわからなかったけど、ずっと探していたんだから』


「……来るもの拒まず、とっかえひっかえじゃないの?」


『……なんだ、それは? 

 ……まあ、他人から見るとそういう時期もあったかも……だけれど。

 基本、自分でも、前世の……お前を少しでも感じる人だけ……。

 わかるだろ?

 朋佳に出会ってからはそういうことはしてないし』


 うーん、でも、付き合った人達のことを、人違いで済ませて欲しく、も、ない。


「……わかった。

 でも、付き合った彼女さん達とは、ちゃんと別れているんだね。

 その……、傷つけたりはしていない?」


『ほとんどちゃんと話し合って、別れてるけど……。

 まあ付き合ってもいないのに、あんなことしてくる真理先生みたいな女性もいるから……。

 どこまでが傷つけていないか、無理して頷いてたのかって、ことはあるけど』


 そうですね……。別れても、未練が、思いが残っていることもあるなんて聞きますし……。


『怒ってる?』


「怒ってはいないけど……。

 ちょっと落ち込んでる。

 でも、私をずっと探してくれていたというのは……、わかるし。納得はできた」


『プレゼント開けてみて』


「うん……」


 私はスマホを置いてプレゼントの包みを開けた。

 ネックレス?

 細い銀の鎖に小さめのかわいい緑の石と金と銀の葉っぱのモチーフのトップがついてる。

 うわ、かわいい!

 スマホを取り上げて言った。


「すごくかわいい! ありがとう……」


『意外か?』


「うん、まあ……」


 アクセサリーかなと思った時点で、金で赤い石とか選んでそうな気がしたから、確かに意外。

 銀なら、そこまでお高くないのかな?

 もらっちゃっても大丈夫!?


『今の朋佳には、それの方がよく似合うから。

 前世ではなく、今の朋佳には』


 何!?

 胸がずきゅんとした。

 私、ちょろ過ぎじゃない!? いや、前からそうか!?


「ありがと……。今の私にって言葉、うれしい。大切にする」


『うん、じゃ、おやすみ。

 ああ、声聞いているだけで幸せなのに、会えないのが辛い……。また電話する』


「おやすみなさい……」


 通話を切って……、私の心臓が今になって急にドキドキしだした。

 後、2年とちょっと。

 私と先生のお互い片思いみたいな内緒の関係は続くわけで……。


 辛いのか、うれしいのか。

 よくわからなくなってきた。

 でも、今は幸せ。

 あれ、今世は前世の罪を償うはずなのに……。

 こんなに幸せでいいのだろうか。

 

 あ、でも、今回のことのように大変なことも起きて……。

 今の生は、いつ終わるか、わからない怖さ、そして、相手を失う怖さはあるけれど、それが罰でなく、限りある生で、せいいっぱい愛し合うことになるのかもしれない。

 前世のことなんか忘れて、今を生きろってことなのかな。


 私はネックレスをきれいに箱に戻し、茶封筒に戻すと、また学校のカバンに戻した。

 そして、アキとマユミのことを思った。

 彼女達も今、幸せな瞬間を生きてるといいな。

 川上先生もね。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

これで第3章は終わりです。

これからの文芸部のクリパとか、高二の夏合宿などはポコポコなんとなく浮かんできてて、卒業後の最後のラストの絵は浮かんでます。そこまで書きたい気持ちもあります。

誰かの視点で短く進めるか、章立てにして長めに進めるか……。悩み中。

頭にどんどん浮かぶ物語を頑張って書き留めるみたいにして書いた話なので、手が追い付かないっ!! という経験を久しぶりにしました。書いてて大変だったけれど、とても楽しかったです。

第1章を書いた時はこうなるとは全く思っていませんでした。

しかし、こちらはここでいったん置いておいて『生まれつきの婚約者がいるなんて聞いてない!?』の方にこれから注力します。

そちらが完結すれば、またこっちに戻って来られると思います。

というわけで、連載のままにして、少し離れます。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

ここまでブックマークしてくれた5名の方々、本当にありがとうございます。

間が空きますが、まだ続くのでその時もお付き合いいただけたらうれしいです!


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