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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第3章 若宮朋佳
57/76

15 好き

どうぞよろしくお願いします。

「ずるい……。

 いや、ずるいのは私もか。いいわけばかり探してる」


 シャワーの音が響いてきて、びくっとした。

 私は立ち上がる。


 コートを脱いでハンガーにかけた。その下に靴を置く。

 ジャンパースカートを脱いで椅子の背もたれにかけた。

 靴下、薄手のタートルニットを脱いで畳んで椅子の座面に置く。長めのキャミソールも脱いで畳んだ。

 何やってるんだ私?

 私だってシャワー浴びたい。 

 そう思ったら、残りの下着もさっと脱いで置いた。

 素っ裸でさむっ!

 シャワーの音が止んだので、慌てて、バスルームのドアの後ろになる位置に隠れた。

 裸足だから、音しないもんね。


 ドアが開いて、先生が出てきて、ベッドの方へ歩きだしながら、ドアを閉めかけて……、気づいてない。

 私はさっとドアからバスルームに入り込んで、鍵をかけた。

 鏡に裸の私が映ってる。


「バカだな……、私」


 シャワーを浴びたら、もっと寒くなった。

 棚の上のバスタオルを巻きつけて出ると、先生が待ち構えてて、捕まえられるみたいに抱きしめられた。


「いいってことだよな」


 私は頷いた。

 前回、力ずくだったけど、先生、避妊はちゃんとしてくれてたから、それは大丈夫だよね。


「タロットの答え。

 前世はどんなに傲慢でも、今世は寂しかったんでしょ?

 私に出会えるかもわからなかったし。ひとりで、ずっと。

 あ、でも、先生はそれなりに、彼女とかいたよね、きっと。

 そうだよ。もうお互い、前世を引きずるのはやめよう。

 今の私は、あなたのことが好き。

 だから、卒業するまでは、危ないことはしないで」


「わかった……、できるだけ善処する」


「善処って……」


 私は苦笑した。そういうところ、前世と……。ああ、もうこう考えるのやめなきゃ。


「……好きなの。

 でも、この思いで、先生を破滅させたくない。

 だから、私はちゃんと生徒でいたい。

 ああ、言ってることと、やってることと、違い過ぎるな……、だけど……」


「わかってる。

 今だけはってことだろ」


「うん、今だけは……」


 先生の温かさが好き、欲しい。

 温めて欲しい。私を。

 そして、私の存在が先生の孤独を癒せるなら、それで、今はそれだけで、いいかな。


「……スマホ、入れてないよな?」


 先生が確認するように言った。


「え、あ、プラネタリウムで切ったままだ」


「そっか、良かった……」


 先生は笑った。

 プラネタリウムで電源切るように言ったのは、このため、だったのか!?


読んで下さり、ありがとうございます。

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