3 月の宮
どうぞよろしくお願いします。
「きゃー、月の宮と王子よ」
「朝からおふたりを見れるなんて!」
「近藤先生、月の宮のこと知らなかったのね!」
「毅然と対応するお姿! かっこいい!」
そんな声がざわざわと聞こえる。
私とアキは顔を見合わせ苦笑いして、高校棟の昇降口に向かって歩き出した。
「ごきげんよう! 朋佳先輩!」
挨拶してくれたのは文芸部の後輩である中3のさおりんだ。
「ごきげんよう!」「ごきげんよう」
私の後にアキも挨拶を返してくれ、さおりんは赤くなって「ごきげんよう!!」と深々とお辞儀している。
そんなさおりんに他の中学生達が「キャー!」と言いながらぴょんぴょん近寄ってきてて、私達はさっとその場を離れた。
「ごきげんよう。トモ! アキ!
何かつかまってたけど?」
ニヤリと笑いながら昇降口で声を掛けてきたのは同じクラスのマユミだ。
伊藤真由美。自然科学部。クラブは違うけど、けっこう仲がいい。
クラスではアキとマユミと一緒に行動している。
「通り過ぎたくせに……」
アキが言って、マユミもアキをちろっと見た。
「アキだって先生が狼狽えるの、楽しみで黙っていたんでしょ?」
「だって久々だったから。
中一の時は門の所で引っ掛かってたよね。
おっ、久々って思って」
そうなのだ。中一の時は門で、学校内で、今のように「その口紅を取りなさい!」ってティッシュを突きつけられることが……、何回かあった。
天然ものなんですけどね。
まあ、今は9月。もう少しすると保湿のために色をついてないリップを塗らなきゃだけど。
「なんせ月の宮様だから」
マユミが笑う。
「月と……、唇の赤みが強いってどう関係があるんだよ!?」
私が言い返すとアキが「あー、でも『月の宮』って呼び名、トモに合ってると思うよ」と言った。
マユミが「アキの『王子』もね」と言ってから、プッて吹き出した。
読んで下さり、ありがとうございます。
仲良し三人組。




