28 金魚
どうぞよろしくお願いします。
後3話で、完結です。
私は無言でシャワーを浴び、服を元通り着て、スマホを返してもらう。
体調が悪くなり、途中、車の中で少し休ませてもらったこと。だいぶ良くなり、動けるようになったので車を動かしてもらい、もうすぐ着くと……。
先生の目の前で、母にlineを打たされる。いや、打った。
「いい子だ」
頭を撫でられた。
「俺だけの、俺だけの朋佳……」
マンションの駐車場に着いて、迎えに出てくれた母に、自分で説明する。
帰りに車の中で寝てしまい、みんなが降りた後、先生に起こしてもらったけど、気持ちが悪くなってしまったこと。
少し停められる場所を探してもらい、車の中で休ませてもらったと。
「川上先生、すみません。お手数をおかけしました。
本当にありがとうございます」
母が何度も頭を下げてくれる。
私も促されてぺこりとした。
「ああ、まだ顔色が悪いね、今日明日はしっかり休みなさい。
では明後日、学校で!」
川上先生の言葉は私の頭の上を通り過ぎていくようだ。
先生の車が、そうわざわざ、あの大きな車を出して、私を自宅まで送って……。
どこまで人を欺くために、考えて動いているのか……。
それは、私も同じか……。
私は自分の部屋に入ると、部屋着に着替えるだけでベッドに潜り込んだ。
ひとりになりたい……。
「車に長く乗って、山道だったからかしらね。
お茶でも飲む?」
母が心配してお茶を入れてきてくれた。
ゆっくり3口ほど飲んで、「ありがとう、少し寝るね」と伝えた。
母が部屋の戸口で私が横になるのを見届けてから「おやすみ」と電気を消してくれた。
私はうとうとしながら考えていた。
私が……、兄を探してた? 見つけて欲しいと思ってた?
夢の中で、私は前世にいた。
赤いひらひらの裾や袖が水の中でたゆたって、翻る。
兄である天帝がうれしそうに私を見ている。
赤い服は彼のお好みだ。
また『私の金魚』とか言ってるんだろう。
私はわざと背を向けて、水の底にふわっと座りこんだ。
兄の目で、私は何度も何度も、頭の中で、想像の中で犯されていることをわかっていた。
天帝である兄と腹違いの妹である私。
兄弟姉妹の中で不老不死に近い天人の血の力が発現したのが、私達ふたりだけだった。
読んで下さり、ありがとうございます。
告発して川上先生を破滅させることもできますが……。
朋佳の中にも……。
後2話で完結です。
最後まで、このふたりを見届けていただけたらと思います。




