26 誰の罰
後5話で完結です。
どうぞよろしくお願いします。
「あなたは私に……、さらに罰を与えたいの?
兄である天帝を殺した罪なら、地球に流されたことで償っているだろう!」
「お前の場合、罰になっていないみたいだ。
3年間見てきて、そう思ったよ。
あの時、どうして私の殺し方を教えて、やすやすと殺されたと思う?
お前と一緒に地球に流されるためだよ」
私は目を見開いた。
「一緒に!? なんで!?」
「お前、狂っていっただろう?
俺がするお前への仕打ちに対して……。
俺の罪は、お前を、血を分けた妹を手放さず追いつめ、精神を壊したことだ」
「……認めたんだ。死ぬ間際に告白したの?」
「ああ、先に流刑地で待つためにね。
思った通り、今度は兄妹ではないからね。
俺が思うように、愛してやれる」
「無理だよ。
今世では川上先生は私の先生だ。
教え子である私を愛するなんてできっこない。
帰して。今なら何も言わないで……」
川上先生が手を伸ばしてきて私の腕をつかんで引っ張った。
話をしていて反応するのが遅れ、私は部屋の中に引きずり込まれる。
「卒業するまではとは思っていた。
でも、もう耐えられない。
お前が何も言わなければ、いいんだ。
俺のものになることで許してやる……」
「私は天帝を殺して、刑が決定するまで、苦しんだことでも十分に償ったと思っている。
光から遠ざけられ、徐々に弱って、苦しんで死んだ。
もう償ってる……」
「じゃあ、俺の償いに付き合ってもらおうか!
血のつながった妹であったお前には、何もできない……。
見ているだけしか。だから、周囲から引き離し、閉じ込めた。
その姿を見て、何度も何度も俺のものにすることを想像して……。
お前が壊れて、誰も近づけなくなって、やっと唯一同じ力を持つ、兄である俺が、世話と称してお前に触れることを許され……」
「覚えているよ……。
半分意識はあったから。ただ遠くから見ているみたいだったけど……。
あなたは囁いた。天人の血のみがお互いを傷つけることができると……。
お互い不老不死から解放されると。
だから、狂いかけて、死を望んでいた私は、あなたの腰の短剣を取り、自分自身を傷つけて私の血を塗った刃にして、あなたを刺した」
「不老不死の力に目覚めた者が唯一、苦しまずに死ねる方法だよ。
ただの傷なら、俺達はすぐに癒えてしまうからな。
俺がお前に血のことを伝えることもせず、さらに手離そうとせず、それで敵を作ってしまった。
お前は俺を殺せる唯一の武器としても、敵に知られて……。攫われそうになったこともあった……。
そして俺の血で濡れた刃で、自分自身を刺そうとして、拘束されてたね」
「狙い通りだったの?」
読んで下さり、ありがとうございます。
この世で結ばれないのなら、相手を壊して、自分を殺させ、来世でまた会おうとか……。
この兄さん怖いんですけど……。
王族として生まれ、天人の力を発現すると無条件で天帝候補になります。
兄の方が先だったので、兄が天帝になり、妹はその血筋を後世に残すために他の者(準王族くらいの家)に嫁ぐはずでした。
兄が邪魔してましたけど。
天人の血を発現した者がいない場合は普通に王族の中から天帝を決めます。
天人の者が天帝になると長い治世となり、安定すると考えられていました。
新たな天帝候補が現れて、現天帝が死を望めば、その時にいる天人(天帝候補)の血によって死を贈られます。
または妹のように、強い生命力を維持する光を絶たれれば、長い時間(妹は約10年間)苦しんで衰弱しながら、最終的には死を迎えることになります。だから、不老不死といっても条件はあります。
このふたりが死んでも、王族が天帝を継げるし、ごく稀に王族の中に天人は生まれてくるので、何も変わらず王族による治世は続く。




