25 見つけて欲しい?
どうぞよろしくお願いします。
「……庭には番犬が3頭いるから、跳び出さない方がいいよ」
玄関のドアの内鍵を見ていたら、そう言われる。
「そんなに警戒しなくても……」
先生が微笑んだ。
やっぱり似ている?
天帝に……。
私は背筋がぞっとしたけれど、でも身体は緊張して汗をかいているのを感じた。
「きちんと説明しといた方がいいと思ってね。上がって」
私は靴を脱ぐのを躊躇したが……渋々脱いで上がった。
右手をつかまれ家の中へ。中庭があって、そちらには窓があるのに外側の壁には大きな窓がほとんどない。
なんだか似ている……。私が生かされ続けていた場所に……。
先生がその先のドアを開け「こっちに」と言った。部屋があるんだ。
でも入るのはダメな気がして立ち止まる。
「どういうこと?
今の私は若宮朋佳で、あなたの教え子のひとり。
これは、この世界では……」
先生は微笑んだ。
「ああ、やっぱり気づいていたんだ、というか、気づいたのは最近でしょ?
もしかして、今かな?
きちんと君の立場と罪についての説明をしてあげるよ。
俺のかわいい……きれいな金魚……」
「あんたが勝手に水に入れて、金魚とか言ってたんだろ!!」
そうなのだ。
最初はあの中庭みたいなガラス張りのような部屋に閉じ込められてるだけだったのだけれど、私の境遇を哀れに思った人が助けようとしてくれて……、捕まって……、殺された。
それ以来、私のいる空間は水で満たされたのだ。
他の者が近づけないよう。簡単に会話できぬよう。
不老不死に近い力のある私は水に閉じ込められても死ねない。
数日に一回、水が抜かれて、私は裸にされ身体を洗われ着替えさせられる。
女官だけが空間に入ってくる。
天帝は……、兄である天帝はそれをずっとガラス越しに見ていた。
「金魚って呼ばれるの気に入ってたんだろ?
だから、金魚葉なのかと……。
本当は見つけて欲しいと思っていたんじゃないのか?」
「そんなこと、思ってない!
今世は、私は人間として土に足をつけ、死を感じて生きる……。自分で生き方を選んで!」
「この流刑地で? そう生きたい者には……、罰にならないね」
読んで下さり、ありがとうございます。
まあ、みなさん、わかってましたよね。
さて、何がどうなってこうなったのか……。




