21 天帝と帝
どうぞよろしくお願いします。
「帝って呼ばれてるんだろ、川上先生?」
田中先生の言葉に気持ちが今世に引き戻された。
そうか、川上先生、天帝に似ているんだよな。
天帝ほど露骨じゃないけど、確かに似ていると感じる時があって。
いつも見られている。それが私を苦しめて……。
『わからなければいけないよ。
私がどれだけ深くお前を愛しているか……。
お前は私がいなければ生きていけないんだからね』
そう言い続けられ……。
そうして、ただ変わらず、生きて、生き続けるために、生かされてた。
『化け物』と、着替えのためにやってくる女官達が私のことを陰で言っていることはわかっていた。
唇の動きでね。声が聞こえなくても、わかった。
彼女達は老いていくのに、天帝と私の姿はいつまでも変わらない。
私は天帝をひとりにしないために生かされているのか……。
でも……、私に求められていた生き方は、そうじゃないはずで……。
天帝と川上先生の視線の本質に類似性をなんとなく感じていた。
ただ、今世では私は人間で、成長し、老いて、いつか死ぬ。
川上先生も人間だ。
人間なのに……、何でそう感じるんだろう。
……私は怖いのかもしれない。
私が成長し、姿が変わり、……そして見捨てられるのが。
天帝も私も、前世で不老不死に近い力を持っていて……。
だから、天帝は、唯一の同類の私を離さず、私は自由を求めて……、狂っていった。
若さを失い、老いていって、見放されて捨てられて、寂しく死ぬのと。
執着し続けられ、永遠とも思われる時を若く美しいままで苦しみ過すのと……。
どっちもどっちかな……。
でも、終わらせられるというのは……、それまでは生きてみようと思える、薬のような効果がある。
私のリュックの中のスマホがぶぶっと震えた。
スマホを取り出す。
マユミのline。
『相原君、承認してあげて』
ホーム画面を見ると、友達かも? のところに『スナオ』というアイコンが表示されてて……。
読んで下さり、ありがとうごございます。
あーあ、やっちゃったよ、マユミ。




