20 お姉さんの思惑
どうぞよろしくお願いします。
マユミとこの間のバスケの試合のことなど話して、田中先生も真理先生も面白がってくれた。
「英開の男子! なかなかやるなー。
俺が高校の時はそんな度胸なかったよ」
私の隣の運転中の田中先生も笑ってる。
「良さそうな子達じゃない!」
マユミがインスタの画面を真理先生に見せてるのかな、ふたりでスマホを見てキャッキャしてる。
「この男子がねー、トモのこと気に入ってたよね!
インスタやってないの残念がってたよ」
「line教えてあげればいいじゃない!」
真理先生がとんでもないことを言った。
「えっ? よく知らない人に、line教えませんよ」
「あら、川上先生、私ともグループlineから繋がってるし、自然科学部の知らない子もいたでしょう。
そんなに気にするものでもないと思うけどな。
これは先生じゃなく、お姉さんとしての助言かもね」
そうなのだ。理科室の予定を確認するために真理先生にもグループlineに入ってもらった。
真理先生はバリバリプライベートと一緒のlineのアイコンらしい……。
たぶん、2台持ちなんてお金持ちじゃなきゃ、それとも何かやばいこと考えてる人じゃないとしないのかも。
田中先生が「俺もそこに入れてくれよ」と言い、「いいですよ」と真理先生が自分のスマホをささっと操作した。
「今、招待しましたから、後で見て下さい」
「ありがとう」
……田中先生と真理先生は交換済みなのかい?
私のびっくりした顔に真理先生が「理科教科のグループlineがあるのよ」と言った。
ああ、学校のパソコンとかじゃなく?
各自のスマホでか。
だから、川上先生は2台持ちしてるのか……。
プライベートと分けたいから、誰にも教えてない……。
なんだか、思い出してしまい、気持がどよんとした。
車窓はもうだいぶ山の中だ。
ぼーっと流れていく緑を見ていた。
どよんとした気持に引っ張られ、前世のことを思い出していた。
私は『姫』で……、閉じ込められていた。
強い光が降り注ぎ、水と空気が調整されている。
時々、光は淡くなり休眠時間になる。
私はただ、そこに存在するだけの『物』だった。
者じゃなく、物。
天帝の愛玩物。
時々、水替えがあり、水を抜いた時に空間に女官が入ってきて、濡れて身体に張り付く服や装飾品を替えるのだ。
読んで下さり、ありがとうございます。
田中先生と真理先生、違う意味で若宮の興味が他へ広がることを喜んでる。
田中先生は若宮に恋人ができて、なんとなーく川上先生が諦めてくれればと。
真理先生は若宮に恋人ができて、川上先生に相手にされなくなればいいと思っている。
全30話で完結です。後半に入りました!
最後までお付き合いどうぞよろしくお願いします。




