10 修羅場!?
どうぞよろしくお願いします。
「は?」
紗栄先生が私の気持ちを代弁するかのように言った短い言葉が全てを物語っている。
「制服だと目立つだろ?」
川上先生の言葉に紗栄先生が怒ってドアに手をかけ、開けた。
「若宮さん! 降りましょう!
川上、ひとりで帰って。
私は若宮さんを送って行くから!」
え? あ?
私はどうすれば?
……とりあえず、紗栄先生について行って、きちんと話をした方がいいだろう。
私はリュックを持つと紗栄先生に続いて降りた。
「横川!!」
川上先生が叫んで、慌てたように降りてくる。
何?
私、ドラマか映画かなんかの男女の修羅場に場違いに巻きこまれてるような……。
紗栄先生は不安気な私の顔を見て苦笑した。
「何! あなたが当事者でしょ!
もっと怒りなさいよ」
怒る?
いや、さっき、川上先生に確かにイラっとというか怒ってたけど……。
今は……。
そんな私の表情を見て、紗栄先生は大きくため息をついて小さな声で言った。
「……わかった。
とりあえず、車に戻りましょう」
車に三人で戻る。そうだよ、駐車場、何気に声が響くんだよ。
こんな話、外じゃできないし。
「川上が若宮さんを愛していて、若宮さんも受け入れる気持ちがあることはわかった。
でも、恋人になるのは。そういう付き合いをするのはちゃんと卒業してからにして!」
最後の方の言葉は川上先生に向けられていた。
「……ありがとう。横川」
川上先生が呟くように言った。
「あんたのためじゃないわよ。彼女のため!
若宮さん、私も一緒にお家まで送るから。
いいわね、あんなのに流されちゃだめよ!
卒業までは!」
ああ……、紗栄先生はまだ私達がそこまでの……。
でも、私は頷く。だって、ここから守るしかないんだというか、そうするしかない。
田中先生と紗栄先生に見張られてたら、川上先生だって卒業するまでは諦めるんじゃない?
その後、川上先生は駐車料金を払ってショッピングモールから車を出した。
不満顔で。
確かにせっかく入ったのに、ショッピングモールに入ることすらしなかった。
私はクスッと笑ってしまった。
三人で……、なんとなく無言。
そういえば篠原さんって今どこにいるんだろう?
「……紗栄先生、篠原さんって今、どこで何をしているんでしょうか?」
ソウヤくんの従姉だっけ?
「今は、もう結婚してるわ。
高校生の時、川上から告白されて付き合ってたけど、彼女には本命がいたの」
「……二股ってこと?」
「……ん。どうなのかな?
本命の人と川上。
本命を待つための……って感じだった気がする。
私にはそう思えた」
私は想像してみた。
私に好きな人がいて、川上先生だとして、でも今は付き合えない。
そんな時に私のことを好きと言ってくれた……、例えば相原くんとお付き合いをって感じ?
んー?
よくわからん。
川上先生のことは好きじゃなかった?
いや、でも長く付き合ってたんだし……。
紗栄先生が川上先生に話かけた。
「でも、川上も篠原が本命じゃなかったってこと?
いや、でも、その時、若宮さんいくつよ!?
7歳とかよね!?」
読んで下さり、ありがとうございます。




