9 ばれちゃった!?
どうぞよろしくお願いします。
「若宮さん?
あなた……、川上のこと?」
紗栄先生の声が聞こえたけれど、私は顔を上げることができない。
「川上?」
紗栄先生の少し咎めるような声が川上先生に向かう。
「あなた、教え子に!? 何したの?」
川上先生は無言で運転を続けていて、それに苛立ったのか、紗栄先生が運転席の方へ身を乗り出すように動こうとしたのがわかった。シートベルトがあるからゆっくりで。
私は両手で紗栄先生の背中辺りの服を軽く掴むように止めて、顔を上げた。
紗栄先生が驚いた表情で振り返るように私を見ている。
「……大丈夫だから」
私は何とか声を出した。顔が熱い、涙が滲んできた。
「何が大丈夫なの?」
まだ紗栄先生から咎めるような怒っているような感じが消えない。
「あ……、その……、私……」
ああ、なんて言えばいいんだよ!?
私は何も言えなくなってしまう。
紗栄先生はため息をついた。
「はあ、川上!
本当にこの子に何したのよ!
こんな……、真っ赤になって震えて……」
「……俺達は愛し合っている。
俺がずっと探していたのは、若宮……、朋佳なんだ」
川上先生の声が車内に響いた。
紗栄先生の表情は変わらない。
「若宮さん、あなたもそういう認識でいると、それで合っている?」
私の目から涙が零れ落ちたのがわかった。
私は頷く。
紗栄先生は、痛ましそうな表情をして、私に向き直った。
「若宮さん。
あなたが苦しんでいることはわかった。
ただ、本当に、川上でいいの?」
「おい、どういう意味だよ?」
川上先生が聞き返してる。
私は泣きながらふふっと笑ってしまった。
紗栄先生もふっと表情が緩み、小さくため息をついた。
「……田中先生も気づいてる?」
私は一瞬迷ったけれど、頷いた。
「少し前に。高一の終わりの頃、田中先生には川上先生のことが好きだとは打ち明けたことがある。
だから、卒業するまではって何となく、そこで約束したみたいな……」
「えっ?」
川上先生が慌てたようにこちらを振り向く。
「ちゃんと運転して!」
紗栄先生の声。
「……わかった。
若宮さんも川上の気持ちに応える気持ちはあるってことね。
それで、卒業するまでは……って。でも……。
川上! 絶対、あんた、何かしらしてるでしょ!?」
「……卒業するまでっていうのは理解してる。
でも、不安になって、自分の思いを伝えたくて、朋佳がそばにいると愛しくなって……」
川上先生が静かに独り言のように言った。
「卒業するまで待てなかったの?」
「ああ……。待てなかった」
紗栄先生は何度かめのため息をついた。
「ああ、まあ、そういうことなんでしょうよ。
そうか、川上は若宮さんを……。
じゃあ、篠原がいての若宮さんじゃなくて、若宮さんがいての篠原だったの?
ん? そんなことはないか? どう考えても無理よね……」
その時、川上先生がどこかの駐車場に車を進めたのがわかって、私は窓から周囲を見回した。
どこだろう、どこかのショッピングモール?
車が停まり、川上先生が言った。
「説明する。
だから……、ここで制服を着替えてきてくれないか?」
はい?
読んで下さり、ありがとうございます。




