7 心遣い
どうぞよろしくお願いします。
また篠原? 帝慶高校時代の篠原雅さん……。
「いたが……、知り合い?」
川上先生が低い声で言った。
「従姉の姉ちゃんです!
昔、高校の文化祭に呼んでもらったことがあって!
たぶん、川上先生に紹介されてます!」
川上先生が目を少し見開いた。思い出したっぽい。
「え……、あ、ポテトフライの!?」
「そうです! ポテトフライ譲って貰った! ソウヤっす!」
ソウヤくんがすっごい懐かしーという表情で言ってから、まずいという表情に変化し……。
「雅姉ちゃんの話しをしたらまずかった?」と言った。
その後、マユミはソウヤくんと相原くんと帰ることになった。私はどうしようか迷ったけど、紗栄先生にお礼を言いたかったし、できれば話をもう少ししたかった。
川上先生が「横川も若宮も同じ方向だから送るよ」と言うので、とりあえず頷いた。
本当は先生の車に乗る気はない。
私達はマユミ達を体育館のエントランスで見送った。
それから、私は紗栄先生にお礼を言った。
「今日はどうもありがとうございます。
マユミが紗栄先生に相談したんですよね。
噂のことも聞きましたよね……。
その……、学校で作業できるようにしてくれたこと、食事のこと、一緒に来てくれたこと。
本当にありがとうございます。
助かりました」
「噂?」
川上先生が話に入ってこようとする。
いいから! 気づいてないんでしょ!
噂には川上先生に絡んでるものもある。ここは迅速に別れたいところ。
だけど、私は紗栄先生と話がしたい、どうすればいいか。
紗栄先生が川上先生をちらりと止めるように見て話し始めた。
「噂、私も聞いたわ。高校の方ではけっこういろいろ言われてるわよね。
それで、私から伊藤さんに話を聞いたの」
え、そうなんだ!?
マユミから相談したのかと思った!
「うん、だから、噂の出所とか理由とかはわかってるつもり。
島先生にも聞いたんだけど、若宮さん、何もしなくていいと言ったんでしょ。
本当のことじゃないからと収まるまで放って置こうと覚悟したんだろうけど……、辛いわよね。
いい友達が多いみたいだから、大丈夫だとは思うけれど、何かあったら、私や島先生を頼ってね」
「はい、ありがとうございます」
ちょっと涙が滲んできそうになった。
島先生も紗栄先生もちゃんと見て、心配してくれてる。それが急に胸に響いて、なんだかじーんとした。
「もう、泣きそうになってるわよ」
紗栄先生が少し慌てて、私の頬に手を伸ばす。
「……ありがとうございます。
思ってたより噂がいろいろ広がってて、気にしないようにしても気になるというか、ちょっと堪えるなぁなんて思ったりしてたんで、紗栄先生の言葉、うれしいです」
私は紗栄先生の手にそっと触り、微笑んだ。
「そっか、無理しないでね」
「はい、でも、噂のひとつに理科室の件が絡んでるので……。
私はこのまま電車で帰ります。
さようなら」
私は紗栄先生の手をそっと握るようにして外すと、礼をして振り返って歩き出した。
「若宮!」と川上先生の声が聞こえるけど。
なんだか私は怒り始めている。
川上先生との噂が変な方向に育たないようにしないといけないのに……。
そう考えての行動なのに、手を掴まれて、私は振り払おうとしてその手が紗栄先生であることに気がついて、びっくりした。
「え?
紗栄先生?」
「もう少し話をしたいの。
あなたも気になってるでしょ。篠原のこと」
読んで下さり、ありがとうございます。




