3 堪えるな
どうぞよろしくお願いします。
アキが「どうしたの?」と気にしている。
「マユミ、大丈夫そう?」
私が聞くとアキは振り返って「教室入ったよ」と教えてくれた。
私はふーっと大きく息を吐いた。
アキが私を見た。
「さっきの子がマユミが乗り気じゃないって子?
山室さんだよね。マユミがミホって呼んで仲良くしてた子。
……夏休み明けになんかあったのかな?」
「うーん、たぶん、なんかうまくいってないんだろうね。
なんかマユミ、最近ちょっと変な時があるから」
「変な時?
あ、まあ、いつもより明るくないっていうか、進路のことで悩んでるんじゃないの?」
「ああ、うん、それもあるのかも」
マユミが言ってくれないと……。でも、さっき言おうと頑張ってた。
アキはバスケ部で、さっき声をかけたように私はマユミを誘って帰ろうとしたんだけど、隣のクラスに行くと、なんか変な目で山室さんに見られた。他、数人からも。
マユミは慌てて出てきて、私達は駅まで歩いた。
アキから聞いた大会の話をして、駅で待ち合わせしてご飯食べて行く? なんて言ったんだけど、なんとなくマユミがそわそわしてて……。
まあ、一緒に行くという約束だけで駅について別れた。
なんだろ?
数日後、なんか私の変な噂が立ってると教えられる。
典ちゃんが心配そうに言った。
「なんかさ、トモちゃんがマユミちゃんを子分にしてるの? って聞かれたよ」
「子分?」
「あ、私は『若宮さんって本当は性格悪いの?』って」と近くにいた子からも言われた。
私は苦笑してしまった。
「私の方が子分な気が……、自然科学部の方が大所帯だし」
「ううん、そういう感じじゃなかったよ。
池ちゃんも言ってた。なんかトモちゃんの悪口を言ってる人がいるみたい」
典ちゃんが本当に心配してくれてる。
「……心配してくれてありがとう。
でも、私、別に意地悪とかしてないし……。
みんなもわかってくれてるし。
うーん、もう少し様子を見るよ」
アキもバスケ部で聞かれたらしくて心配してくれた。
「あの山室って子じゃないかな?」
「ああ、たぶんね。
でも、いいよ言わせておけば。
本当のことじゃないんだから、すぐ収まるよ」
「でもさ、ちょっと気になる広がり方だよ。
先生に呼ばれちゃうかもよ」
「んー。そしたら正直に覚えがないことを言うよ。
図書室行ってくる!」
「ん、気をつけて!」
私は昼休みの時間を中学棟の方へ歩いて行く。
中学棟の方が私の噂は広まっていなくて……。でも、高校棟から中学棟に向かっている時にすれ違った高校生、たぶん1年かな? が「ほら、あの人だよ。自然科学部の人を利用してるの!」と言ったのが聞こえた。
はあ、気にしないと思っていても、ちょっと堪えるな、これは。
中学棟に入るとマユミが歩いてきた。
私は「あ、マユミ!」と手を振った。
マユミは私の手の本を見て「図書室?」と聞いた。
「うん」
「私も一緒に行く!」
マユミは私の隣に並ぶと一緒に階段を上り始めた。
「バスケ大会の日、学校で待ち合わせしよう。
紗栄先生が話を聞いてくれて、理科室開けてくれるって!」
マユミの言葉に驚いた。マユミ、紗栄先生に相談したのかな?
紗栄先生……、夏の合宿でトラブル起こして退職危機だったけど、きちんと踏み止まった。そして、立ち直った。アキがなんだか気にしてて……。そのぶん、私はどう接していいかわからなくて、少し距離を測ってた。
マユミが頼ったのが私じゃないのはちょっと寂しい気がしたけど、誰かに『助けて』と言えるのはいいことだ。
「えー、話が本当になったね」と笑ってから、はたと気がついた。
あれ、制服?
だって理科室なら、学院の中に入るもんね。
「学院に来るなら制服の方がいいのかな?」
「あ、そうだね?」
読んで下さり、ありがとうございます。




