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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第7章 若宮朋佳
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2 きっかけ

どうぞよろしくお願いします。

ああ、寝坊して投稿遅くなりすみません。

 自然科学部との合同部活を経て、今年度のフィールドワークはなしということになった。まあ、合宿が長かったから、その分金額もいつもより掛かったみたいだし。

 なくなって安心したような……。


「トモ、ほっとしてる?」


 マユミに聞かれて、慌ててしまった。とっさにこの時期にアキのバスケの大会に行ったことを思い出し「アキのバスケの試合もありそうだしね」と答えた。

 そうだ、日女の文化祭と重なってたんだよな……。

 マユミが頷いたので、私はさらに言葉を続けた。


「まあ、アキも、バスケの試合は最後になるかもだしね」

 

 なんかしみじみしちゃう。


「今年も応援に行こう!」


 そうマユミに言ったら、マユミも少し遠い目をしていた。

 そうよね。ソウヤくんと出会った思い出だもんね。



 自然科学部の方と文芸部の方、もう準備が着々と進んでて、その分、クラスの方の話が面白そうなことになってる。

 音響を勉強している子がいて、ほらバーチャル体験みたいなゴーグルとかは無理だけど、音でその世界に近いことができるんじゃないかってことになって。それを生かせる案をみんなで考え中。

 マユミのクラスは心理ゲームと聞いた。占いとか心理ゲームとかみんな好きだよね。

 そういや、マユミ、最近ちょっと疲れてるというか、暗い顔をしている時があって、気になる。どうしたんだろう。

 その時、アキが「やっちゃった! マユミのところに行ってくる!」と叫んで席を立った。


「どうしたの?」


「世界史の教科書、忘れた!」


 そのまま教室を飛び出していくアキ。

 ああ、マユミ持ってるかな?

 持ってなかったら、他の子にも声かけなきゃだよね。

 そう考えた私はアキの後を追った。


 廊下に出ると、ロッカーの前で談笑するアキとマユミが見えた。

 大丈夫そうかな?

 でも、バスケの大会のこともあるから私もマユミに声かけてこよう!


 マユミが真面目な顔をして何かアキに言って、アキが戸惑っている。

 私は嫌な予感がして思わず走り寄ってから、アキの手の世界史の教科書を見て言った。


「良かった借りられたんだ!」


 うう、なんて言おう。マユミを見る。なんか安心させたくて微笑んでしまう。


「マユミ、サンキューだね。

 アキにバスケの大会の詳しいことは聞いたから!

 帰りに話そう!」


 マユミは困ったような顔をして口を開きかけてやめて、また何か言おうとしてやめた。


「何? どうかした?」とトモが聞いてくれた。


「……えっと、他の子から一緒に行きたいって……」


 マユミが絞り出すように言う。

 アキが怪訝そうな顔をした。


「さっきの気の乗らないってそのこと?」


「あ……、うう、変だよね。友達なのに……」


 私は、他の子、バスケの大会、一緒に連れて行くように頼まれたが乗り気じゃないと読み取った。

 マユミは断れないかも。でも、乗り気じゃないなら、断るべきだ。

 応援にその子は来てもいいと思う。ただ、一緒というのは乗り気じゃないんだろう。


「断ってもいいんじゃない。

 私と約束してるからって。

 ああ、私と用事済ませて行くからって言ってもいいよ」


 そう小さな声で言い終えた時、「若宮さん! 麻岡さんの今度のバスケの大会、私も一緒に応援に行きたいの!」と声を掛けられ、びくっとした。

 びくっとしたことを隠すように首を傾げる。

 この子か!

 えーと、山室さん。高入生だ。マユミと一緒にいることが多いとは聞いている。


「ごめん!

 T区の体育館で会えたらね! 応援席にいるから」


 山室さんの表情が曇る。


「え? 一緒に行かないの?」


「ごめん、朝、マユミと自然科学部のことで用事があるんだよね。それ済ませて、直接体育館に行くから!

 来るなら現地でね!」


 私はあくまで、応援するつもりがあるなら止めない。現地集合でね! と意味を込めて明るく言い切った。そのまま、マユミの肩をトンと触ってから「じゃ、後で!」とアキとその場を去る。


 声を掛けるきっかけを与えないために、わざと振り返らなかった。

読んで下さり、ありがとうございます。

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