2 きっかけ
どうぞよろしくお願いします。
ああ、寝坊して投稿遅くなりすみません。
自然科学部との合同部活を経て、今年度のフィールドワークはなしということになった。まあ、合宿が長かったから、その分金額もいつもより掛かったみたいだし。
なくなって安心したような……。
「トモ、ほっとしてる?」
マユミに聞かれて、慌ててしまった。とっさにこの時期にアキのバスケの大会に行ったことを思い出し「アキのバスケの試合もありそうだしね」と答えた。
そうだ、日女の文化祭と重なってたんだよな……。
マユミが頷いたので、私はさらに言葉を続けた。
「まあ、アキも、バスケの試合は最後になるかもだしね」
なんかしみじみしちゃう。
「今年も応援に行こう!」
そうマユミに言ったら、マユミも少し遠い目をしていた。
そうよね。ソウヤくんと出会った思い出だもんね。
自然科学部の方と文芸部の方、もう準備が着々と進んでて、その分、クラスの方の話が面白そうなことになってる。
音響を勉強している子がいて、ほらバーチャル体験みたいなゴーグルとかは無理だけど、音でその世界に近いことができるんじゃないかってことになって。それを生かせる案をみんなで考え中。
マユミのクラスは心理ゲームと聞いた。占いとか心理ゲームとかみんな好きだよね。
そういや、マユミ、最近ちょっと疲れてるというか、暗い顔をしている時があって、気になる。どうしたんだろう。
その時、アキが「やっちゃった! マユミのところに行ってくる!」と叫んで席を立った。
「どうしたの?」
「世界史の教科書、忘れた!」
そのまま教室を飛び出していくアキ。
ああ、マユミ持ってるかな?
持ってなかったら、他の子にも声かけなきゃだよね。
そう考えた私はアキの後を追った。
廊下に出ると、ロッカーの前で談笑するアキとマユミが見えた。
大丈夫そうかな?
でも、バスケの大会のこともあるから私もマユミに声かけてこよう!
マユミが真面目な顔をして何かアキに言って、アキが戸惑っている。
私は嫌な予感がして思わず走り寄ってから、アキの手の世界史の教科書を見て言った。
「良かった借りられたんだ!」
うう、なんて言おう。マユミを見る。なんか安心させたくて微笑んでしまう。
「マユミ、サンキューだね。
アキにバスケの大会の詳しいことは聞いたから!
帰りに話そう!」
マユミは困ったような顔をして口を開きかけてやめて、また何か言おうとしてやめた。
「何? どうかした?」とトモが聞いてくれた。
「……えっと、他の子から一緒に行きたいって……」
マユミが絞り出すように言う。
アキが怪訝そうな顔をした。
「さっきの気の乗らないってそのこと?」
「あ……、うう、変だよね。友達なのに……」
私は、他の子、バスケの大会、一緒に連れて行くように頼まれたが乗り気じゃないと読み取った。
マユミは断れないかも。でも、乗り気じゃないなら、断るべきだ。
応援にその子は来てもいいと思う。ただ、一緒というのは乗り気じゃないんだろう。
「断ってもいいんじゃない。
私と約束してるからって。
ああ、私と用事済ませて行くからって言ってもいいよ」
そう小さな声で言い終えた時、「若宮さん! 麻岡さんの今度のバスケの大会、私も一緒に応援に行きたいの!」と声を掛けられ、びくっとした。
びくっとしたことを隠すように首を傾げる。
この子か!
えーと、山室さん。高入生だ。マユミと一緒にいることが多いとは聞いている。
「ごめん!
T区の体育館で会えたらね! 応援席にいるから」
山室さんの表情が曇る。
「え? 一緒に行かないの?」
「ごめん、朝、マユミと自然科学部のことで用事があるんだよね。それ済ませて、直接体育館に行くから!
来るなら現地でね!」
私はあくまで、応援するつもりがあるなら止めない。現地集合でね! と意味を込めて明るく言い切った。そのまま、マユミの肩をトンと触ってから「じゃ、後で!」とアキとその場を去る。
声を掛けるきっかけを与えないために、わざと振り返らなかった。
読んで下さり、ありがとうございます。




