14 お互いに悪い
どうぞよろしくお願いします。
「な!
そんなことない!
若宮さんは私に意地悪した。
マユミを私から取ろうとしたのよ!」
ミホの悲痛な声が響いた。
でも、渡辺さんはため息をつく。
「……だから、取るとか取られるとか、友達に対しての言葉じゃないよね。
山室さんが伊藤さんを自分の物のように考えていたことがわかるよ」
ミホの表情が強張る。
「わ、私は、マユミを助けてた、守ってた!
あの子は自分の意見を言わない、だから……!
ね、そうよね、マユミ!」
私は苦しくなった。
「……ああ、ごめん。
私、人と親しくなるまでなかなか自分を出せなくて。
高二の最初はアキやトモと違うクラスになって不安で、いつにも増しておどおどしてた。
そんな時、山室さんに、ミホに声かけてもらって、うれしかった。
なのに、なんか……、ごめん。
私もミホを利用してた。で、ミホに利用されるのが嫌だと。
お互いに悪かったと思う。
だから、一度離れた方がいいと思う」
飯塚さんが笑った。
「ふふ、何の別れ話よ」
「別れ話って!!
もう! マユミなんて知らない!
ひとりでやれるんなら、やってみればいい!
泣きついてきてもしらないんだからぁ!」
ミホはそう叫ぶと教室から飛び出して行ってしまった。
「ありゃりゃ」
渡辺さんが言って、飯塚さんが「きつく言い過ぎたかな?」と苦笑し、池さんが「そこまできつくないと思うけど」と言った。
「ごめんね!
文化祭前にトラブル起こしちゃって!」
飯塚さんが苦笑しながらクラスのみんなに言うと「ううん、ちょっと私も勘違いしてたかも」「じゃあ、若宮さんのことは嘘だったの!?」なんてざわっとした。
渡辺さんと飯塚さんが私の方に来た。
「ごめんね、急に巻き込んで」と渡辺さんがやさしく言ってくれた。
「なんか最近変だなとは思ってたんだけど、伊藤さんが何も言わないからさ。
困ってるなら、ちゃんと言いなよ」と飯塚さんがちょっとぶっきら棒に言った。
「ヅカちゃん、そういう言い方が怖いんだって!」
池さんが笑いながら言った。
結局、その日はミホ、山室さんは戻って来なくて……。
どうやら、職員室に駆け込んでから、クラブの方に行っていたらしい。
クラスの方は関わりたくないとすぐ担任に話したようで、担任の佐藤先生が何事かと飛んで来たけど、ゲームマスターのやり方を山室さんが押し付けてきたので言い返したら口げんかのようになって、自分らしくやればいいんじゃないかという意見がクラスで支持されたら、教室から飛び出して行ったという私達の説明に佐藤先生はため息をついた。
「そう、そうか……。
うーん。うまくやって欲しいけど、自分の意見が通らなくて、それを意地悪されたというのは……。
山室さん、高一の時も、ね……。うん。わかった」
佐藤先生はため息をついてから教室から出た。
私は佐藤先生の後を追った。
「佐藤先生!」
「伊藤さんにも迷惑かけたわね。
山室さんと仲良くしてくれて安心してたんだけど……」
「ごめんなさい。実は最近一緒にいるのが辛くなってて、距離を置きたいと私が言ったんです。
それもあるのかも……」
「何か困ったことが?」
私は瞬時に考えた。推薦のことは言わない方がいいだろう。これはあまりにも印象が悪すぎるし、これからのことだから。
「実は……、私の彼に紹介して欲しい、連絡先を知りたいと言われて……。
大学の情報を他校の生徒とも話したいからと言われたけど、私が戸惑っていたら……」
「なるほどねえ。
それで若宮さんか。若宮さんが伊藤さんを守ろうとしたんでしょ。
変な噂だなあとは思ってたんだけど。
島先生が若宮さんに聞いたら、そのままでいいですって言われたんだってさ。
彼女は強いね」
「はい、とても頼りになる友達で、でも、私もトモの助けになるような友達になりたいって思います」
「ふふ、伊藤さんの方は大丈夫そうね。
山室さんの方は私がゆっくり話をしてみるから。
気にしないで、自分のやりたいようにしなさい」
佐藤先生は微笑んでから職員室の方へ戻って行った。
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