13 変わる雰囲気
どうぞよろしくお願いします。
トモが「池さんとこころちゃんに話しとこうか?」と言ってくれたが、私は首を振った。
「ううん、自分でちゃんと話し掛けてみる。
池さんは同じ看板作りなんで、あと、渡辺さんは様子を見て、頑張る!」
トモは微笑んで「うん」と言ってくれた。
文化祭の準備で池さんとは看板や装飾作りでたくさん話をすることができて、考えている進路も似ているのでこれからも情報交換したり一緒に勉強しよう! と仲良くなることができた。
渡辺さんはミホと同じく心理ゲームマスターの役で……、なかなか声を掛けられない。
「ああ、もっと大げさにやった方がいいんじゃない!?」
ミホの声が響いた。
「そうかな?」
渡辺さんだ。
「ほらもっと、シーランドのアトラクションスタッフみたいにさ。盛り上げるのよ!」
ミホが渡辺さんだけでなく周囲にも聞かせるように言っているのが聞こえた。
ああ、私達、こういうところがもしかしたら似ているのかもしれない。だから、最初は良かったけど、似ているところが……。
「みんな揃えなくてもいいんじゃない?
山室さんは賑やかに大げさにやればいいし。
私はどっちかというと参加者が主役でゲームマスターは淡々としている方がいいんじゃないかと思うし」
渡辺さんの言葉に周囲が頷いている。
「うんうん、いろんなゲームマスターのキャラがあってもいいんじゃない?」
そう言ったのは前に高一の時に一緒に占い師をやった飯塚さんだ。シフトは合わなかったけど、アキと赤の衣装を共有してた。
「去年、タロット占いやって入賞したけど、占い師の個性というかいろいろあって面白かったよ」
そう言って飯塚さんは周囲を見回し、私を見た。
「伊藤さんの占い師はかわいい感じだったし、若宮さんは神秘的な感じだったし、おとなしい感じの子もいたり、頼りがいありそうな子もいたし。
伊藤さん、小学生女子に人気あったよね。お姫様みたいなんて言われてさ」
周囲の子が私を見てくすっと、悪くない感じで笑う。その雰囲気に私も勇気をもらって言った。
「うん、いろいろでいいんじゃないの!
自分らしく、みんなで楽しんでやるのが、一番、だよね!」
池さんが「そうそう!」と言ってくれ、渡辺さんや他の子も大きく頷いている。
ミホの表情が強張る。
「何……、マユミのくせに、何言ってるのよ!
私に意見するなんてっ!」
その言葉にクラスの雰囲気が一瞬、凍りついたみたいになった。
「伊藤さんを自分の子分みたいに思っているのって、山室さんの方じゃないの?」
渡辺さんの言葉がしーんとした教室の中に響いた。
「なっ、私は!
マユミが変なこと言うからっ!
マユミに執着しているのは、若宮さんでしょ!」
渡辺さんがため息をついた。
「じゃあ、言うけど。
若宮さんと伊藤さんはずっと仲いいよ。
見ていて、どっちがどっちに執着してるとかそういうのは感じない。
だから、山室さんが若宮さんのことを悪く言うの、私は変だと思ってた。
それに、伊藤さんのことも……、下げるようなこと言うよね。友達としてどうなの?」
「えっ、私……。
マユミ、何とか言いなさいよ!」
ミホの視線が、必死な視線が私を捉える。
私は身体が震えた。
池さんが私に寄り添ってくれた。
「伊藤さん、大丈夫だよ。座ろう」
椅子に座らせてもらって、私は心を決めてミホを、ミホの目を見た。
「最初はミホと友達になれて良かったと思ってた。
でも、今は、離れたいと思ってる。
ごめん、私も勝手だと思う。でも、このまま、ミホと一緒にいて、いろいろ言われ続けるのは私も苦しい。ごめん」
「……! 若宮さんね!
みんな若宮さんになんか言われたのね!
マユミ、あんたがばらしたんでしょ!」
「ばらしたって何?」
飯塚さんが思わず聞き返した。
「若宮さんと麻岡さんが推薦狙ってるかって……」
ミホが勢いで言いかけて、黙った。
「伊藤さんに探らせてたの?」「それで、伊藤さんを!?」とざわざわっとした。
「じゃあ、若宮さんはそれに気がついて伊藤さんを守ろうとしてたんじゃないの?」と渡辺さんが言った。
その言葉が瞬時にクラスの雰囲気を変えた。
読んで下さり、ありがとうございます。
書いてて、悪役令嬢の断罪みたいだなと思いました。現実だと言葉を選んでるけど、きつく感じますね。
異世界は高らかに断罪しちゃうけどね。
あと3話でこの章は終わる予定です。どうぞよろしくお願いします。




