9 制服
どうぞよろしくお願いします。
紗栄先生は頷いた。
「ええ、元々付き合ったと言ってもほとんど何もなかったのよ。
私の方が告白して付き合いたいって言って、その時は付き合ってるからって、みんなの前で抱きついたりしてたけど……。結局、川上の方からは何も……。だから……」
「そうなんだ……。
そういうもの?
その……、身体の関係がなければ、異性とも友人になれる?」
トモがずいぶん大胆な質問をした。
「ああ」と川上先生。
「いいえ」と紗栄先生。
ふたりは顔を見合わせ苦笑した。
紗栄先生が言った。
「ケースバイケース、かな?
私達の場合は何もなくて、元々、川上は私を友達としか見ていなかった。
私も目が覚めたっていうか……。
時間はかかったけど、ね。
川上は……、篠原のこと、許せるの?」
「許すも許さないも、もう関係ない」
あの時も紗栄先生、トモに向かって篠原って人の名前言ってたな。
トモに似ているとか言ってたよね。
川上先生に聞くってことは本当の元彼女さんなのかな?
トモも何か聞きたそうな顔をしていたけれど、口をきゅっと一度結ぶと言った。
「答えにくいこと答えてくれてありがとうございます。
じゃ、自然科学部の活動をします!
理科室使わせて下さい!」
理科室の大きなテーブルを使い、模造紙を広げた。
自然科学部と文芸部のコラボが第2弾であることの説明というか挨拶文を書く。
「マユミ、下書き頼む!」とトモが言って、私は鉛筆で薄く文章を下書きしていく。文章は私とトモで考えてもうできてるから写すだけ。
「マユミの字ってきれいだよね。読みやすい文字」
トモが褒めてくれる。
「褒めてくれてありがとう」
「うん、私、すごく早く書き留めようとして、次が汚いんだよね。ゆっくり書く時もその癖が出ちゃったりしてさ。
マユミの字をなぞるから!」
川上先生がA4サイズの紙を何枚か持って来て、トモに見せた。
頼んでいた合宿の写真を拡大印刷したものみたい。
トモが笑顔で写真を見ていき、紗栄先生が来て覗き込んで、苦笑した。
そうか! 再デビュー前か!
紗栄先生は恥ずかしそうに私の方に来て「もう、誰っ? よね」と笑った。
「そろそろ行くか!
昼食もどこかで食べるだろ?」
川上先生が声を掛けてきたが、紗栄先生が首を振った。
「ふたりとも制服だから、外食するのはやめた方がいい。
コンビニで適当に買ってきたから、それを準備室で食べましょう」
「ありがとうございます!」
トモが言って、川上先生を見た。
川上先生は少し残念そうに見えた。
私達を連れて行きたいお店でもあったのかな?
理科室を片付け、鍵を閉めてから理科準備室でおにぎりとかパンなどを紗栄先生が出してくれた。
「選んだ物、お金払います」とトモが言うと「大丈夫よ。これくらい。ふたりにはお詫びもしたかったし」と紗栄先生が笑った。
私はメロンパンとハムチーズパンを選び、トモはおにぎりをふたつ選んだ。
残りを川上先生と紗栄先生で分けてた。
「食べ終わったら、車で行こう」と川上先生が言う。
トモは紗栄先生に「一緒に行きましょう! アキ喜ぶ!」と言った。
「ええ……、大丈夫なら」と紗栄先生は川上先生を見た。
川上先生が頷く。
読んで下さり、ありがとうございます。
紗栄先生の方がトモが嫌な噂を立てられているのに気づいていて、配慮してくれています。
そろそろこの章の後半に入りました。
これからもどうぞよろしくお願いします。




