7 性格悪いのは誰?
どうぞよろしくお願いします。
去年はこの時期にフィールドワークに行ったけど、今年は長めの合宿日程だったし、もう文化祭のテーマも決まり、それに向けてまとめに進んでいる。だから、今年度のフィールドワークはなしということになった。合宿で少しだけど石拾いもできたしね。
トモがなぜかすごくほっとしていて……。
そうか、文芸部は運動嫌いだったっけ。
「トモ、ほっとしてる?」と私が聞くと慌てたように「アキのバスケの試合もありそうだしね」と言った。
うん確かに、日女の学園祭と被ってたんだっけ?
「まあ、アキも、バスケの試合は最後になるかもだしね」
私はソウヤと出会ってから一年か! と改めて思った。
あのバスケ大会でソウヤが私達をナンパ!? しなかったら、出会えてないわけで。
高一の時は楽しかったな。アキとトモが一緒でのびのび自分を出すことができて、そのおかげか他の友達にも安心して自分を出すことができてた。
「今年も応援に行こう!」
トモが笑う。
そういえば、ソウヤ達は何であの大会に来てたのだろう?
バスケ部の友達いるんだろうけど……、わかんないな。
私はうっかりミホに週末の予定を聞かれ、アキの応援にバスケの大会を観に行くと話してしまった。大学見学かと鎌かけてきている気がしたので……。
「若宮さんと? 英開の彼も来る?」
「トモと行くけど、後はまだわかんない」
ミホはちょっと考えてから微笑んだ。
「ね! 私も応援に行きたいな」
「え……」
なんて答えよう。一緒は……。
その時、戸口の廊下側から「マユミ!!」とアキが呼んだ。
「あ! アキ!
ごめん!」
何故かミホに謝ってから教室の戸口に向かう。
「マユミ、世界史の教科書、貸してもらえる?」
「ああ、今日は授業がないから、大丈夫!」
私はそのまま廊下へ出てロッカーから世界史の教科書を取り出した。
「はい! アキが忘れ物なんて珍しいね」
「ありがとう。
昨日の夜、寝るまで読んでて。そのまま置いてきちゃったんだよね」
「ふふ、予習して偉かったのに、やらかしたのか!
睡眠学習?」
「違うね、それができたらいいんだけど。
全教科、枕にして寝ちゃるわ!」
アキが笑う。
「アキ……、アキだったら気の乗らない話っていうか……」
「ん?」
「ううん、何でもない」
トモが走り寄って来て「良かった借りられたんだ!」と私に微笑んだ。
「マユミ、サンキューだね。
アキにバスケの大会の詳しいことは聞いたから!
帰りに話そう!」
私はちょっとはくはくしてしまった。
何か言い出したいのに言いたくなくてという素振りを……。
「何? どうかした?」
トモが言う。
「……えっと、他の子から一緒に行きたいって……」
アキが怪訝そうな顔で「さっきの気の乗らないってそのこと?」と聞いてきた。
「あ……、うう、変だよね。友達なのに……」
トモがそのやり取りだけで、ピンときたようで先回りして提案してくれる。
「断ってもいいんじゃない。
私と約束してるからって。
ああ、私と用事済ませて行くからって言ってもいいよ」
その時、ミホが戸口に現れ、ロッカー前の私達に近づいてきた。
「若宮さん! 麻岡さんの今度のバスケの大会、私も一緒に応援に行きたいの!」
トモはちょっと首を傾げて言った。
「ごめん!
T区の体育館で会えたらね! 応援席にいるから」
ミホは意外そうな顔をする。
「え? 一緒に行かないの?」
「ごめん、朝、マユミと自然科学部のことで用事があるんだよね。それ済ませて、直接体育館に行くから!
来るなら現地でね!」
トモが明るく言い切り、私の肩をトンとしてから「じゃ、後で!」とアキと去って行く。
「何、あれ?」
ミホが露骨に顔を顰める。
ああ、私が言わなきゃなのに、トモが助けてくれた。
「なんだろう。若宮さんって性格悪いの?
それともマユミのことを自分のものだと主張してる?」
「いや、自然科学部の用事があって……」
「あー。行く気なくなった!
マユミのせいだからね!」
ミホは不機嫌そうなまま、教室に入って行った。
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