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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第6章 伊藤真由美
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7 性格悪いのは誰?

どうぞよろしくお願いします。


 去年はこの時期にフィールドワークに行ったけど、今年は長めの合宿日程だったし、もう文化祭のテーマも決まり、それに向けてまとめに進んでいる。だから、今年度のフィールドワークはなしということになった。合宿で少しだけど石拾いもできたしね。

 トモがなぜかすごくほっとしていて……。

 そうか、文芸部は運動嫌いだったっけ。


「トモ、ほっとしてる?」と私が聞くと慌てたように「アキのバスケの試合もありそうだしね」と言った。

 うん確かに、日女の学園祭と被ってたんだっけ?


「まあ、アキも、バスケの試合は最後になるかもだしね」


 私はソウヤと出会ってから一年か! と改めて思った。

 あのバスケ大会でソウヤが私達をナンパ!? しなかったら、出会えてないわけで。

 高一の時は楽しかったな。アキとトモが一緒でのびのび自分を出すことができて、そのおかげか他の友達にも安心して自分を出すことができてた。


「今年も応援に行こう!」


 トモが笑う。

 そういえば、ソウヤ達は何であの大会に来てたのだろう?

 バスケ部の友達いるんだろうけど……、わかんないな。



 私はうっかりミホに週末の予定を聞かれ、アキの応援にバスケの大会を観に行くと話してしまった。大学見学かと鎌かけてきている気がしたので……。


「若宮さんと? 英開の彼も来る?」


「トモと行くけど、後はまだわかんない」


 ミホはちょっと考えてから微笑んだ。


「ね! 私も応援に行きたいな」


「え……」


 なんて答えよう。一緒は……。

 その時、戸口の廊下側から「マユミ!!」とアキが呼んだ。


「あ! アキ!

 ごめん!」


 何故かミホに謝ってから教室の戸口に向かう。


「マユミ、世界史の教科書、貸してもらえる?」


「ああ、今日は授業がないから、大丈夫!」


 私はそのまま廊下へ出てロッカーから世界史の教科書を取り出した。


「はい! アキが忘れ物なんて珍しいね」


「ありがとう。

 昨日の夜、寝るまで読んでて。そのまま置いてきちゃったんだよね」


「ふふ、予習して偉かったのに、やらかしたのか!

 睡眠学習?」


「違うね、それができたらいいんだけど。

 全教科、枕にして寝ちゃるわ!」


 アキが笑う。


「アキ……、アキだったら気の乗らない話っていうか……」


「ん?」


「ううん、何でもない」


 トモが走り寄って来て「良かった借りられたんだ!」と私に微笑んだ。


「マユミ、サンキューだね。

 アキにバスケの大会の詳しいことは聞いたから!

 帰りに話そう!」


 私はちょっとはくはくしてしまった。

 何か言い出したいのに言いたくなくてという素振りを……。


「何? どうかした?」


 トモが言う。


「……えっと、他の子から一緒に行きたいって……」


 アキが怪訝そうな顔で「さっきの気の乗らないってそのこと?」と聞いてきた。


「あ……、うう、変だよね。友達なのに……」


 トモがそのやり取りだけで、ピンときたようで先回りして提案してくれる。


「断ってもいいんじゃない。

 私と約束してるからって。

 ああ、私と用事済ませて行くからって言ってもいいよ」


 その時、ミホが戸口に現れ、ロッカー前の私達に近づいてきた。


「若宮さん! 麻岡さんの今度のバスケの大会、私も一緒に応援に行きたいの!」


 トモはちょっと首を傾げて言った。


「ごめん!

 T区の体育館で会えたらね! 応援席にいるから」


 ミホは意外そうな顔をする。


「え? 一緒に行かないの?」


「ごめん、朝、マユミと自然科学部のことで用事があるんだよね。それ済ませて、直接体育館に行くから!

 来るなら現地でね!」


 トモが明るく言い切り、私の肩をトンとしてから「じゃ、後で!」とアキと去って行く。


「何、あれ?」


 ミホが露骨に顔を顰める。

 ああ、私が言わなきゃなのに、トモが助けてくれた。


「なんだろう。若宮さんって性格悪いの?

 それともマユミのことを自分のものだと主張してる?」


「いや、自然科学部の用事があって……」


「あー。行く気なくなった!

 マユミのせいだからね!」


 ミホは不機嫌そうなまま、教室に入って行った。

読んで下さり、ありがとうございます。

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