6 選択肢
どうぞよろしくお願いします。
ミホがニヤニヤした表情で笑いかけてくる。
「若宮さんのことわかった?」
なんか嫌なのに、答えてしまう。
「選択肢のひとつだけど、まだわからないって」
「……ふーん、ずいぶん余裕な感じ」
「指定校推薦って他にもあるの?」
「マユミは関係ないでしょ!?」
機嫌を損ねたみたい。ミホが顎を上げて見せる。見下げられてる感じ?
なんだろう。いつもこうなんだ。
友達になって、なのに、いつも、何かこうやって……、下に見られる。
アキとトモはここまで感じないけど……。
ふたりは私の苦手なところや足りないところに気づいて、それを助けようと動いてくれてる。けれど、見下すようなことはしない。
「うーん、大学のオープンキャンパスとか行っててさ。
ちょっと他の大学も素敵だな、なんて思うことがあって」
「例の彼と? 若宮さん達と?
そんなんで進路変えちゃうなんて、なんか軽いね」
「……あはは。でも、大学の校舎、素敵なところが多くてさ」
なんか自虐的にへらへら笑って答えてしまう。
こういうところがだめなんだろうな。なんとなくわかってはいるのに。
「どこ行ったの?」
「教友大と聖治大」
「若宮さんも?」
「トモもいたけどアキもね」
「ふーん、麻岡さんもか。
あのふたりは確かに外部受験な雰囲気があるわ。
教えてあげる、どっちも推薦枠あるよ。
去年、ふたりずつ出願して、ひとりずつしか受からなかったんじゃないかな?
東政も1枠あるけど、今まで受かった人いないんじゃないかな?」
東政大、トモのお父さんの母校って言ってたっけ。
帝慶大と確かによく比べられる学校だよね。
「すごい、ミホ。詳しいね」
「ふふん、こういうことは情報も重要なのよ。
そっかー、麻岡さんの動きも見張らないとだね」
「見張るって……」
「マユミ、期待してるから!
指定校推薦狙うグループから、マユミは頼りにされてんのよ!」
それはトモとアキの情報をこれからも流せってこと!?
うう、なんか嫌だ。でも、そうは言えない。
「そうだ!
文化祭、英開の彼氏来るの?
紹介してよ!
英開ならもっと他にいろいろな大学の情報持ってそうだし!」
紹介? 紹介するだけじゃないよね?
情報交換するなら、連絡先を交換させるってこと……。
急に、去年、トモとスナオくんのlineで揉めたことを思い出した。
いまだにline繋げてないと聞いた。
トモなら、そう簡単にline交換しない。ソウヤとも繋がってない。
聞いたことがある。
『マユミやアキを通しての友達だから』と言われた。
自分の情報源として、英開の男子の、しかも私の彼氏の連絡先を知りたいというミホ。
胸が痛い。
なんでこんな思いをしてまで、ミホと友達を続けているんだろう。
「何、嫌なの?」
「い、嫌じゃないけど……」
友達……なんだよね。
私は懸命に自分に言い聞かした。
友達なんだから……。まだこのクラスでの生活は半年以上あるし。学校生活は1年半以上だ。
友達をやめるという選択肢は、ない。
上手く過ごさなきゃ。
人を利用して……。利用されて嫌だなと思っている私がいて、なんだか矛盾しているよね。
読んで下さり、ありがとうございます。




