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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第5章 若宮朋佳
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17 罪悪感

どうぞよろしくお願いします。

 森林公園に行く準備をしてロビーに集合。


 そうですよね……。毎日、理科準備室で川上先生を見ている紗栄先生としては、このシャツが川上先生の物だとすぐわかるよね。

 すっごく見られてるけど……。

 紗栄先生に貸したカーディガンが戻ってこないから、こうなってるんだからね!?


「えっ、帝のシャツ!? トモちゃんやるー!」


 ゆかり先輩が言う。


「笑い事じゃなく。カーディガンが返ってこなくてこうなってんじゃ」


 私が顔を顰めて返事すると、さくら先輩も見に来て言った。


「男性の夢ね。彼女に自分のシャツを着せるのって」


 夢!? 夢……、え? 川上先生が喜ぶ、のか……。なんか急にうれしい気もしちゃって、顔が赤くなる。

 いかんいかん! 

 気持ちを下げていかないと!!


「うう……、なんでこんな辱めを……」


 自虐的に言ってるのに……。


「でも、似合ってるよ」とアキが笑って言うし、「うん、トモ、かわいいよ」とマユミは褒めてくれるし。

 いやいや。


「そーいう問題じゃない気がする……」


 うん、紗栄先生の目が……。周りの子達の微妙な、触れてはいけない話題みたいになってる……。

 その時、田中先生が話し掛けてきた。


「カーディガン、クリーニング間に合わなくて災難だったな」


「はい、あのカーディガン、今日の長袖で着ようと思っていたから」


 田中先生との会話で。ちょっと周囲の雰囲気が緩んだ。

 鈴永さん達の警戒してたような雰囲気がなくなり、他の子達もこのシャツの理由がわかったようで納得したような表情になった。

 それなのに無表情なのに、目だけなんか怖い紗栄先生。

 そんな状況なのに機嫌が良さそうな川上先生にイラっとした。


 また、文芸部で奥の座席にまとまった。

 もう、川上先生とはできるだけ離れておこう。


 森林公園に到着して、入り口で集合写真を撮る。

 バスの運転手さんが撮ってくれることになり、私とマユミのスマホで撮ってもらった。それぞれの部のlineに後であげることにする。さおりんが頼んできて、運転手さんと文芸部でも撮ってもらう。

 運転手さんは公園内にいるので、何かあればスマホで連絡をと言ってくれた。


 それから、お昼まで自由行動となったんだけど。

 アキが私の隣にいたかなちゃんに言った。


「私とマユミがトモといるし、こっちにはさおりんもいるから。

 かなちゃん、中学生の方で遊んでくれば?」


 かなちゃん、どうだろ?

 同じ中三の鈴永さんと小野田さん、最初より仲良くなったとはいえ……!?


「はい!」


 かなちゃんの返事にほっとする。

 いやいやって感じじゃなく、鈴永さんの所に行き声を掛けている。

 なんとなく中学生チームと高校生チームに分かれた。

 田中先生が中学生チームに入ってくれるそうだ。

 私も、高校生達とは部屋も違っちゃったし、うん、ここは高校チームで、アキやマユミと一緒にいられるのは素直にうれしい。

 田中先生があっちだと、こっちは川上先生?

 ゆかり先輩とさくら先輩も高校生チームというので、ゆかり先輩ともゆっくり話せるかも!?

 ふと、どちらの輪にも入らないで立ち尽くしている紗栄先生の姿に気づく。


 紗栄先生は川上先生を縋るような視線で見つめている。

 ああ……、なんでかな。

 アドバイスしたくなる。

 それじゃ、嫌われるだけだって。

 待つ……なら、そんな風に縋ったらいけない気がする。まだ、待たずにそばに来て直接言った方がましだ。断られ、拒絶されるとしても。

 待ったら……、どこにも行けなくなるし、苦しいだけだ。


 川上先生はさくら先輩に声を掛けられて、高校生と一緒に行くことにした。

 先生の分担的に田中先生が高校の先生で、川上先生が中学の先生だから、それはあえて交流をっていう意味ではいいのかも。

 紗栄先生は何も言わない。……鈴永さん達も、もう声をかけない。

 それぞれのチームが動き出しそうになったその時、紗栄先生は……、突然、踵を返し、離れるように歩いて行ってしまう。


 誰も追わないし、呼び止めなかった。

 なんか、少し罪悪感のような気持が残った。悪いことはしていないんだけど……。

読んで下さり、ありがとうございます。

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