15 付き合ってるの?
どうぞよろしくお願いします。
鈴永さんと小野田さんの格好は細い肩紐のかわいらしいキャミソールと短パン。かよわそうな肩と細い足が惜し気もなく出てる。
ふたりとも細いのもあって、しかもツインコーデなんだろう。
色違いの同じデザインの服を着てることもあり、そこまでというか全然いやらしくない。
でも、露出という点で注意するなら……、しなくてはいけないだろう。
逆に紗栄先生は風呂上りなのがわからないくらい、何も変わっていない。
大浴場で顔や髪を洗わなかったのかな?
あ、だから、ツインを希望したのか? バスルームついてるから。温泉じゃないけどひとりきりで風呂に入れるか!
紗栄先生が鈴永さんと小野田さんを見て赤くなる。
「何か羽織りなさいよっ!」
ふたりに向かって叫ぶと、慌てたように行ってしまう。エレベータの方かな?
鈴永さん達もちょっと躊躇したけど、紗栄先生の後を追ってエレベータの方へ行った。
私達は、わけがわからず見送る。
3人の姿が見えなくなった時、「カーディガン、横川先生から預かってクリーニング出したから。出来上がったら返すな」と川上先生が話し掛けてきた。
「わざわざ!? そのままでいいのに!」
「いや……」
川上先生が困ったように田中先生を見た。
ふたりは顔を見合わせて苦笑する。
「出来上がったら返すから。もう遅い。早く部屋に戻れよ」
また川上先生が私に言って、ふたりは大浴場の方へ行ってしまう。
え、クリーニングの理由は特にないの!?
ふたりが見えなくなるとアキがぼそっと言った。
「紗栄先生、今回のことでなんか印象悪くなった」
私も同意だ。
「うん、確かに。なんとなく嫌なところばかりが目につく」
大部屋に戻ると鈴永さん達はもう戻っていて、機嫌悪そう。
もう、後は寝るだけ!
押入れを開けて布団を敷いてしまおう。
みんな荷物を片付けて布団敷きを手伝ってくれる。
私は今回の合宿の準備のことなど話してみることにした。だって、この先、合宿があるなら、彼女達が高校生になって係をすることになるんだろうだし。
「今回の合宿、このホテル以外に候補がふたつあったの。
でも、このホテルが8人まで泊まれる大部屋があって割安だったこともあるから決めたんだよ。
他はね、ミニ天文台付きのペンションとかもあった。
でも、私達、天文部じゃないし、そこまで天体観測に慣れてるわけじゃないしね。
どちらかというと初心者だよね。
展望テラスでの星空体験。
明日は近くの森林公園で自然に親しみ、午後はホテルで望遠鏡の使い方や星の話を聞いて、夜、実際に屋上で望遠鏡を使った天体観測をする予定だよ」
「森林公園、なにがあるんだろう!」「森林!」「確かに!」
なんて冗談が出て、みんなで笑う。
「池もあってボートにも乗れるらしいよ」
「ボート!? あの足漕ぎのスワンじゃなくて!?
私、普通のボート乗ったことない!」
「あ、私もないや」と私も笑う。
「トモ先輩、先輩は芸術系は何専攻したんですか?」と質問される。
「美術にしたよ。
課題があるのも面白いよ。この間ペーパーナイフっていうの? 手紙を開ける木製のナイフ作ったよ。
先生がどんなところを評価するのかって聞いたら、なんだと思う?」
「え、なんですか?」
「ふふふ、売れるか、なんだってさ。
橘先生、面白いよね。商品としてお金になるか、売れるかで考えるんだって。
だから、自由課題とか今から何を作ろうかって考えるの楽しい」
「書道を取る子は少ない?」
「少ないけど、楽しそうだよ。
文芸部顧問が春海先生でしょ。
『何故、取らなかった?』って文句言われたけど、私、書道苦手なんだもん」
最初は少し遠くにいた鈴永さん達も近くに来て話を聞いていた。良かった。
鈴永さんが意を決したように私に向かって言った。
「……若宮先輩は川上先生と付き合ってるんですか?」
空気がというか時間も止まったような……。
「……付き合ってないよ」
「本当ですか?」
「だって、先生と生徒だよ」
「う、でも……」
私は軽く息を吐いてから言った。
「紗栄先生にそう言われた?」
どちらにも取れるような微妙な表情の鈴永さんと小野田さん。
私は言ってしまった。
「紗栄先生の方が川上先生の元彼女だよね?」
「元彼女って、今の彼女は……?」と小野田さんが聞いてくるけど、私は……知らない。
「今は、いないんじゃない?
紗栄先生、帝慶大学の写真で見たことがある。川上先生と写ってた」
読んで下さり、ありがとうございます。




