14 短パン
どうぞよろしくお願いします。
アキと私が身体を拭いて、下着を身につけてTシャツを着る。化粧水や乳液をつけたり、髪をドライヤーで乾かしたりしている間にマユミやさおりんにかなちゃんが出てきた。短パンを履いて私はほぼ仕度完了。
仕度ができていた私はさおりんの髪をドライヤーで乾かしてあげた。
「トモ、短パン珍しいね」
アキに言われる。
「あ、そうだね。服は長いの好きだから、いつもは足出してないか。
家では、夜こんな格好してんだけど」
とりえず、ロビーまで出て、何か飲もうか! ということになり、自販機コーナーをよく見てみると、セブンティーンアイスがあるじゃないか!
「わ、私、アイスにする!」「私も!」「なぬ、アイスだと!」
みんなでわいわいアイスを買って、ロビーのソファでおしゃべりしながら食べる。わー、なんか、楽しい。
その時、若い男の人に声を掛けられた。
「星は楽しめた?」
ん? あ、バスの運転手さん?
ナンパかと警戒した私が恥ずかしい……。
マユミが卒なく答えてくれた。マユミ、こういう初対面な人との対応はけっこううまいんだよな。
「ありがとうございます。楽しめました、すごく素敵でした!」
「明日は自然散策できる森林公園まで送迎します。では、おやすみなさい」
運転手さんは笑って、フロントの方へ入ってから手を振ってくれた。
「なんか、爽やかじゃない!?」ってさおりんが言う。
ん、さおりんのタイプなのだろうか?
「ここの息子さんらしいよ」
マユミが言って。まあそれは本当。
マユミと私はホテルに到着して、手続きとか鍵を貰う時にそんなことをちらっと聞いた。
「え?」とアキが詳しいことを聞きたそうにした。
マユミが首を傾げて説明する。
「ここのホテルの支配人? 支店長? の息子で、今年から入社というか手伝いしてる、とか?」
いや、はてなマーク、多いなっ!
「なんだ、大ホテルチェーンの御曹司かと思った」とさおりん。
ふふ、何その設定。知り合ったイケメンが御曹司だったとか、シンデレラストーリーなマンガとかにありそうな設定だな。
「いやいやだから、一応このホテルの偉い人の息子だよ」
マユミが笑いながら言った。
その時、大浴場の方から不穏なワードが聞こえた。
「若宮さんって思ってたより太っていたのね」
「そうですね、ちょっと」
自分の名前が聞こえると、耳澄ましてしまうね。
紗栄先生と鈴永さん達がロビーにいる私達に気づいてぎょっとして立ち止まる。
アキがフーンという感じでそちらを見て「紗栄先生って思ってたよりガリだったね」とわざと聞こえるような大きな声で言った。
「ちょっと、やめなよ」
相手は先生だし。いや、理科助手は教職必要ないのか?
意外な相手から意外な言葉を言われてちょっと驚いた。
「いやらしい……。わざと見せつけてるの?」
鈴永さんだ。鈴永さんががぼそっと呟いたのが、小さい声なのにロビーに響いて。
その時、田中先生と川上先生が大浴場に行こうとしてたのかこちらに来た。
田中先生が不穏な雰囲気に気がついてるのか気がついていないのか、話し掛けてくる。
「おい、早く部屋に戻れ!
もう遅いんだぞ!
横川先生はこれから風呂ですか?」
話を振られた紗栄先生が顔を顰めた。
え、これぐらいもセクハラになるとか!?
「…… もう入りましたけど」
「え? ああ」
田中先生がちょっと狼狽えた。
アキが呆れたように言った。
「紗栄先生、いろいろうるおい不足。化粧落として保湿した方がいいよ」
……ケンカ売ってるの!? 私は風呂上りなのに変な汗が出そうになる。
川上先生がそんな雰囲気の中で笑った。
よく笑えるなっ!?
そして私の全身を見て「早く部屋に戻れ」と言った。
う、なんだよ。それ。
みんなだって、短パン履いてるよ。
紗栄先生が川上先生の言葉を注意と受け取ったよう。厳しい口調で「そうよ、若宮さん、そんな露出の激しい格好で公共の場をうろつくなんて学院の品位……」と言いかけた時、かなちゃんが言った。
「鈴永さん達の方が露出激しいですけど?」
かなちゃん!?
う、でも確かに。私に注意するなら、彼女達にも注意しないと、だね。
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