12 責任者?
どうぞよろしくお願いします。
川上先生が少し怒ったように言った、
「本当に寒かったら、鈴永とか生徒に抱きついているだろ」
う、私とかなちゃんとさおりんがイチャイチャしてたの気にしてたのか?
そんなことないよね。とかなちゃんの方を向こうとしたら、左の腕を掴まれる感覚がして、手が腕を滑り、左手をぎゅっと大きな手のひらで握られる。
な、な、何!?
慌てて振りほどこうとして、やめた。
騒がない方がいいか……。
暗いし……。
いろいろいいわけを思いつく私自身に苦笑する。
ま、いいか。
温かくて気持ちいいし……。
なんだかみんな静かだ。
私はかなちゃんと川上先生に挟まれて、それぞれ手も握ってもらえて、幸せ、だな。
周囲の人がぼちぼち戻って行く気配に気づく。
それに気づいて、話をし出す子達が増えた。もうそろそろ帰るかな。
川上先生が「今、9時過ぎだ」と教えてくれる。
ありがたい。両手が塞がってて腕時計見られなかったから。あ、川上先生のせいか!
私は起き上がろうとして、かなちゃんの方が起きるの早かった。
私と川上先生は慌てて手を離す。
……かなちゃん、気がつかなかったかな!?
「はあ、ロマンティックというか、ファンタジックというか。こんな星空が見られてすごい体験した!」
マユミの感極まったような声。
確かにそうだ。ここまで来て、天気も良く、きれいな星空が見られて本当に幸運だと思う。
貰った赤いペンライトでまだ暗い周囲の安全を確認しつつ、明るいゴンドラ乗り場へ行き、駐車場まで降りた。
バスまで来ると、なんか光の粒子が荒いような変な感じがする。さっきまで暗い所にいて、ゴンドラ乗り場で明るい光見て、なんだか目まぐるしかったから、目が疲れててるのか?
帰りのバスも文芸部で後ろに乗る。自然科学部の子達が乗りこんできたところで「みんな隣に来た時と同じ人いる?」と声を掛けた。
なんかみんな気持ちがふわふわしてる感じが漂っているからね。私も、そうか……。
「いるー!」「大丈夫!」なんて声が返ってきて安心する。
川上先生が乗ってきた。行きと同じくマユミの隣に座ろうとしたら、マユミが困り半分、笑い半分的な感じで言った。
「えー、ちょっと。もう睨まれたくないんですけど」
怯む川上先生。
うーん、行きの時のあの緊張した空気感を思い出す。
後ろから乗り込んできた田中先生がやり取りが聞こえていたようで、川上先生の肩を叩き、「ほらここに座れ」と言いながら、空いている窓側の座席に川上先生を押し込んで、自分は通路側に座った。
最後に鈴永さん達と紗栄先生。やはり、最後のパターンであってそうだな。
鈴永さん達はさっきの席にさっと座る。だけど、紗栄先生はなんかもたもたしていて、なかなか空いている席に座らない。
もう座っている鈴永さん達に「ちゃんと座れた?」なんて言うから、みんな微妙な表情をしている。
うーん。
「文芸部、全員います!」
私は紗栄先生に声を掛けた。なんだか、みんなが揃ってるか、座っているか、確認しているみたいな感じだったからね。
マユミも私の言葉に同じように声を上げた。
「自然科学部も全員いるね!?」
紗栄先生は責任者のような顔をして頷き、空いている席に座った。
バスが動き出す。
田中先生が紗栄先生に「借りたカーディガンは?」と声を掛けたのが聞こえた。
田中先生も上着貸したのかな?
その時、アキが小さな声で「帝、いつの間にかトモの隣にいなかった?」と言ってきて「あ、そう、星、綺麗だったねー」と私は慌てて言った。
「何、慌ててんのよ? もしかして……?」
「えーと、戻ったらお風呂行くでしょ!?」
私は強引に次の話題をねじ込んだ。
読んで下さり、ありがとうございます。




