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今世と前世と罪と罰  作者: 月迎 百
第5章 若宮朋佳
109/142

11 孤独と温もり

どうぞよろしくお願いします。

 照明を落とすカウントダウン!

 自然観察なんだけど、ショーアップされてる感がすごい。目が慣れてくるとたくさんの星が空にあるのに気がついた。

 おお、なんかすごく遠いとわかっているのに距離感がバグるな。


「プラネタリウムみたい……」


 中学生かな? 誰かの声が聞こえた。

 うん、その感覚、ちょっとわかる。

 今、見ている星が本物で、プラネタリウムはこの見かけを再現しているんだけど。

 これだけの星空、本物の星空を見る機会はそれほどないから、プラネタリウムの方が原体験っていう人の方が多いかも。

 だから、ついプラネタリウムのことを思い出してしまうのだろう。ということは、プラネタリウムの再現度はかなり高いってことだよね。本物なのに、作り物みたいな存在感が、なんか変だな。

 でも、とってもきれい……。


 私は輝く星に孤高さと冷たさを感じた。

 隣にいるかなちゃんと自然に寄り添う。

 人の温もりが癒しみたいな……。


「あ、あれ、北極星じゃない?

 で、あれがひしゃくでしょ」


 私は空の星を指差しながらかなちゃんに話しかける。自分では指差してるつもりだけど、こりゃわかりにくいかも。


「北斗七星? じゃあ、あれがカシオペアかな?」


 かなちゃんも指差しながら答えてくれる。

 カシオペア、おお、Wの星座だね。アンドロメダ王女のお母さんだっけ。

 その時、川上先生の声。


「そう、岩瀬、合ってる」


 私は頭を動かして上の方、声がした川上先生の方を見ようとしたけど、よくわからない。

 なんだか頭のそばに頭があるみたいだけど? 

  

「け、川上先生、あれが火星ですよね」


  紗栄先生の声が聞こえ、けっこう近くにいるみたいだと気がついて、すうっと寒気を感じた。


「赤い明るいのが火星。あの金色っぽいのが木星かな?」


 川上先生が呟くように返事している。

 私は夜空を見た。

 なんか寂しい。ここに私ひとり。前世のひとりで死ぬために弱っていく刑罰のことを思い出した……。

 かなちゃんと繋いでいた手が、その温かさが私はひとりではないと今世に引き戻してくれる。


「すご……、吸い込まれそう。怖くない?」


 私はかなちゃんに話しかけた。かなちゃんは笑って繋いでいる手をきゅっと握り返してくれる。


「はい、すごい星空……。

 とも先輩と一緒だから、怖くないです」


 ワオ!

 私が男なら惚れちゃうくらいのキラーワードじゃない!?

 私は思わず「かなちゃん、かわいいっ」とぎゅーっと抱きしめて笑っちゃった。


「イチャイチャ」


 アキの声。

 あ、私の声、大きかったか!?

 かなちゃんの隣のさおりんの「いいなあ」という声。


「ほら、さおりんもおいでっ!」


 私はかなちゃんとさおりんの方へ身体を向けて寄せながら言った。

 さおりんがかなちゃんを挟むように抱きついてきて、私達は3人でムギュと抱き合うけど、なんかおかしくて3人で笑っちゃう。


「わ、あったかい」


「んふふっ」

 

 心の底からの笑い声。

 その時、「あ!」「あ、流れ星!!」「すごっ!」「どこ!」と歓声が上がった。そして、一瞬静かになる。


「健司、寒い……」


 また、紗栄先生の声が響く。


「上着持って来てるだろ」


 さすがに助けを求めるような呼びかけは無視はできないか……。

 川上先生の声を聞きながらそう思う。


「バスに置いてきてしまって……」


 ああ、何やってるだよ。

 私はフリースの下に薄手のカーディガンを着ているのを思い出した。フリースは大きめだから、中で脱げそう。ごそごそしたら、けっこう簡単に脱げた。


「紗栄先生、これ使う?」


 私はフリースの裾から薄手のカーディガンを引っ張り出した。


「薄いけど、着てないよりかはよいかも」


「ありがとうな、若宮」


 川上先生がいるあたり、斜め上の方にカーディガンを差し出す。受け取ってくれて、ほっとした。

 川上先生はカーディガンを紗栄先生に渡すために、少し動いてから、何故か、私の右隣に戻ってきた。

 そう、かなちゃんの方に寄ってたので、確かにスペースが空いたっちゃ、空いた。

 ギョッとしてしまう。


「な、なんで……。紗栄先生が寒がってるなら、そばにいないと!?」


 私は、私の左側にいる川上先生を気にしながら言った。

読んで下さり、ありがとうございます。


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