11 孤独と温もり
どうぞよろしくお願いします。
照明を落とすカウントダウン!
自然観察なんだけど、ショーアップされてる感がすごい。目が慣れてくるとたくさんの星が空にあるのに気がついた。
おお、なんかすごく遠いとわかっているのに距離感がバグるな。
「プラネタリウムみたい……」
中学生かな? 誰かの声が聞こえた。
うん、その感覚、ちょっとわかる。
今、見ている星が本物で、プラネタリウムはこの見かけを再現しているんだけど。
これだけの星空、本物の星空を見る機会はそれほどないから、プラネタリウムの方が原体験っていう人の方が多いかも。
だから、ついプラネタリウムのことを思い出してしまうのだろう。ということは、プラネタリウムの再現度はかなり高いってことだよね。本物なのに、作り物みたいな存在感が、なんか変だな。
でも、とってもきれい……。
私は輝く星に孤高さと冷たさを感じた。
隣にいるかなちゃんと自然に寄り添う。
人の温もりが癒しみたいな……。
「あ、あれ、北極星じゃない?
で、あれがひしゃくでしょ」
私は空の星を指差しながらかなちゃんに話しかける。自分では指差してるつもりだけど、こりゃわかりにくいかも。
「北斗七星? じゃあ、あれがカシオペアかな?」
かなちゃんも指差しながら答えてくれる。
カシオペア、おお、Wの星座だね。アンドロメダ王女のお母さんだっけ。
その時、川上先生の声。
「そう、岩瀬、合ってる」
私は頭を動かして上の方、声がした川上先生の方を見ようとしたけど、よくわからない。
なんだか頭のそばに頭があるみたいだけど?
「け、川上先生、あれが火星ですよね」
紗栄先生の声が聞こえ、けっこう近くにいるみたいだと気がついて、すうっと寒気を感じた。
「赤い明るいのが火星。あの金色っぽいのが木星かな?」
川上先生が呟くように返事している。
私は夜空を見た。
なんか寂しい。ここに私ひとり。前世のひとりで死ぬために弱っていく刑罰のことを思い出した……。
かなちゃんと繋いでいた手が、その温かさが私はひとりではないと今世に引き戻してくれる。
「すご……、吸い込まれそう。怖くない?」
私はかなちゃんに話しかけた。かなちゃんは笑って繋いでいる手をきゅっと握り返してくれる。
「はい、すごい星空……。
とも先輩と一緒だから、怖くないです」
ワオ!
私が男なら惚れちゃうくらいのキラーワードじゃない!?
私は思わず「かなちゃん、かわいいっ」とぎゅーっと抱きしめて笑っちゃった。
「イチャイチャ」
アキの声。
あ、私の声、大きかったか!?
かなちゃんの隣のさおりんの「いいなあ」という声。
「ほら、さおりんもおいでっ!」
私はかなちゃんとさおりんの方へ身体を向けて寄せながら言った。
さおりんがかなちゃんを挟むように抱きついてきて、私達は3人でムギュと抱き合うけど、なんかおかしくて3人で笑っちゃう。
「わ、あったかい」
「んふふっ」
心の底からの笑い声。
その時、「あ!」「あ、流れ星!!」「すごっ!」「どこ!」と歓声が上がった。そして、一瞬静かになる。
「健司、寒い……」
また、紗栄先生の声が響く。
「上着持って来てるだろ」
さすがに助けを求めるような呼びかけは無視はできないか……。
川上先生の声を聞きながらそう思う。
「バスに置いてきてしまって……」
ああ、何やってるだよ。
私はフリースの下に薄手のカーディガンを着ているのを思い出した。フリースは大きめだから、中で脱げそう。ごそごそしたら、けっこう簡単に脱げた。
「紗栄先生、これ使う?」
私はフリースの裾から薄手のカーディガンを引っ張り出した。
「薄いけど、着てないよりかはよいかも」
「ありがとうな、若宮」
川上先生がいるあたり、斜め上の方にカーディガンを差し出す。受け取ってくれて、ほっとした。
川上先生はカーディガンを紗栄先生に渡すために、少し動いてから、何故か、私の右隣に戻ってきた。
そう、かなちゃんの方に寄ってたので、確かにスペースが空いたっちゃ、空いた。
ギョッとしてしまう。
「な、なんで……。紗栄先生が寒がってるなら、そばにいないと!?」
私は、私の左側にいる川上先生を気にしながら言った。
読んで下さり、ありがとうございます。




