3 ラブラブと出家?
どうぞよろしくお願いします。
いつの間にか101話!?
5月下旬、私とマユミとアキはゆかり先輩さくら先輩と短大の田中先生の部屋で待ち合わせて、合宿の人数やアレルギーの有無など集計していた。
「人数、大部屋2つでいけそう!
ほら、中学生7人、高校生も7人。
ツインの部屋2室抑えてあるから、川上先生と田中先生、もうひとつに私と桜子使わせてもらって、横川先生にはどっちかの大部屋に参加してもらえばいいんじゃない?」とゆかり先輩。
「そうですね。大部屋ひとつ減ると、ひとり千円ぐらい合宿費下がりますね。
そしたら、それで決定で。
文芸部の方で合宿のしおり作るよ」と私。
「え、大変じゃない?」
マユミが言うが、私は笑う。
「うん、すっごい簡単なのにする」
さくら先輩が頷く。
「じゃあ、自然科学部の方は会計のことやろう。
田中先生に会計責任者になってもらうのお願いできてるので、集金のお知らせと引き渡す領収書作ろう!
と、ここまで決まったから、ちょっと休憩。
そういえば、彼とは順調?」
アキと私がちょっと緊張する。
マユミがにこっと笑って答えた。
「はい、順調! ラブラブです」
は、そうだよね。交際をオープンにしてるのはマユミだけだ。
アキと相原君のことは、マユミと私しか知らない。
私が川上先生のことが好きなのも、アキと田中先生と……近藤先生が微妙に気づいてるかもしれない?
「彼は何部なの? 夏休みの予定と合宿、大丈夫そう?」
「部活やってないです。でも、夏はゲームの甲子園大会に出るとか言ってました」
へー、何か面白そう。
アキが言った。
「そうだ、理科助手の横川先生、用心した方がいいかもしれません」
アキ!?
あ、真理先生の写真のことか!?
でもあれは、私が睡眠薬を盛られた……、いや、嫌がらせで見せられて話されたぐらいなら……。
「ね、トモ!」
「う……、ええ。
横川先生、川上先生と高校と大学が一緒だったのでは? と思うんです。
もしかしたら、大学で一時期お付き合いしていたんじゃないかと」
「……何情報? 帝が言ったの?」
ゆかり先輩が怪訝そうに私に聞く。
そうだよね。そうなるよね。
「えーと、去年の話なんですけど、その、真理先生に川上先生の高校と大学の写真を見せられたことがあって。
それに、横川先生、写ってたと思います。まあ、私の記憶なので……」
「なんで真理ちゃんが? 川上先生の情報として?」
私は首を振る。
「どっちかというと、川上先生には気をつけろ、やめとけ的な?」
「ふーん……。川上先生、恨まれてるんだぁ」
私がのらりくらりと受け答えをしているのを見て『内緒だったか!?』と気づいたらしいアキが目で謝ってきた。
さくら先輩が考えながら「まあ、そうすると真理ちゃんと似たタイプかもね。川上先生とのきっかけというか接近したくての合宿参加かも」と言った。
「それにしてもさ。イメチェン? 思い切ったね」
ゆかり先輩が私の髪の端をさらっと指で弾く。
「はい、前から切りたかったけど、伸ばしている期間が長すぎて、なかなか踏ん切りつかなくて」
そうなのだ。私は5月の初旬にけっこうバッサリ髪を切ったのだよ。
アキが笑う。
「今のトモ、定子様って言われてて。
誰が言い出したのか、川上先生が一条天皇。さえ先生が彰子って感じで、そんな噂が爆発的に学校ですごかったです」
「定子に彰子!?
何、トモちゃん、男取られて世を儚んで出家したの?」
「そんなわけないじゃないですか!?
ちょっと自分を変えて見たかったんです。おとなしく見られるのも嫌だったし。
前の私、おとなしく見えるみたいで、その、変な人に絡まれることも時々あったし」
「わ、それ、帝に言ったら、毎朝、牛車で送迎してくれるんじゃない!?」
「もう! さくら先輩まで、面白がらないで下さいよ!
不審者は返り討ちにしてますから、大丈夫です!」
「そうね。トモちゃんは言える子だもんね」
「はい、無視して立ち去ることもありますけど『駅員さん呼んで下さい』と叫ぶとだいたい逃げますから」
読んで下さり、ありがとうございます。
昨夜、NHKドラマ『テミスの不確かな法廷』が最終話でした。
これ、すごく面白かったんです。
それそれの登場人物が個別にいろいろな思いを抱えていて頑なに心を閉ざしていたところがあって。
人と交流しようと一歩踏み出すことで変わっていく。
主人公以外にもたくさんのストーリーが見える素敵なドラマでした。




