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【トラウマ女神のやり直し!〜隷属の女神の伝説 王国編〜】♡♡♡僕は、女神最強加護の権能で世界の浄化をやり直すため、TSして過去と向き合う冒険の旅に出ます♡♡♡  作者: トンブタ
第4章 ローズ家事件

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068-4-17_原因(挿絵あり)

「なんじゃと? それはどういうことじゃ?」


 村長は、不信感を滲ませながら、聞き返した。ホルトラスは、眉を寄せて唸っている。


「ちょっと見ててね」


 そう言って、疑いの強い村長とホルトラスの目の前で、種を一粒、揉みつぶして見せた。すると、禍々しい黒い煙がにじみ出て、空気中に拡散して消えた。その様子を間近に見ていた二人は、気の滅入る煙に思わず顔をしかめ、手で黒い煙を扇いだ。


「これが飢饉を起こした正体だよ」


 そう言うと、村長は、訝しそうにしながら、自分でも一粒種を揉みつぶした。すると、やはり気の滅入る黒い煙が、種からにじみ出る。


「な、なんて……ことだ……」


 村長は手が震え、掌に乗せていた種をぽろぽろと地面にこぼしてしまった。そして、自分の手を見つめたまま、「うぅっ!」と言葉にならない呻き声をあげ、ガクリと膝から地面に崩れ落ちた。ホルトラスが、村長の傍にしゃがんで彼の肩を支えてやる。


「気をしっかり持ってくだされ、村長」


 う〜ん、ちょっと、ショックが大きいよね。


 こんな話を聞けば、誰だって愕然とするだろう。彼ら農民は、今まで培ってきた方法を正しく守り続けてきたのだ。何年も何十年もずっと。そして、その積み重ねが、この地域を大穀倉地帯へと育ててきたはずだ。それを、悪意は、僅か数回の栽培で全てを崩壊させてしまった。

 力なくうなだれる村長を見ていると、掛ける言葉が思い浮かばない。

 農民たちは、この状態で三年もの間この地に踏ん張っきたのだ。これは並大抵の忍耐じゃない。だから、ホルトラスが心配していたように、もう次は無いと農民たちは言うかもしれない。もう二度と立ち上がれないと……。例えそうだったとしても、誰も、彼らを責めることなんてできない。しかし、もう一度、本当にもう一度、これが最後になるかもしれないけれど、農民が、確かな希望を掴む事が出来たなら、彼らは、その種を撒いてくれるはずだ。


 少なくとも、僕は、そう願う。


 村長の手から落ちて地面にバラまかれた種を拾い上げた。


 今の彼らには、未来を見通すことが出来る希望が必要なのだ。そして、その希望は、目の前にある! この僕の手の中に……。


「村長さん、まだ諦めるのは早いよ」


 村長の目の前に左手を差し出すと、その種に女神のエネルギーを流し込んだ。すると、手のひらの上で、種が見る見るうちに発芽し、緑色の若葉を伸ばした!


「な、なんとっ!」


 村長が驚き、言葉を詰まらせた。ホルトラスも額に皺を寄せ、種の様子を凝視している。村長は事態を理解できていないようだ。


「何が、どうなっておる?」


 村長の掌に発芽した麦をこぼれ落とす。すると、彼は、それを自分の顔の前に持ってくると、不思議そうにまじまじと観察した。


「自然エネルギーで浄化したんだよ」


 そう言うと、村長は目を丸くして僕の顔を見て言った。


「め、女神様の御業か?」


「……」


 まぁ、そう言う事だけど……。


 しかし、今、僕ができるのはこれが精一杯だと言っておいた。彼らが、この事態を知ったとき、再び立ち上がる為には、自らの意思がなにより大切になるはずだ。僕ができることは、その後押しをすること。


 他人の力に依存してしまえば、自分の人生を生きられなくなるからね。僕はただ、種は、浄化さえできれば甦るってことを目の前で見せたかったんだ。


 するとホルトラスが言った。


「もしや、神池の御神水か? そうじゃろエリア様?」


 そう言って、ホルトラスが説明した。麦の種は採種した後、神池の御神水に半日ほど浸し、十分乾かしてから畑に撒くという。それは、神池の浄化作用によって麦の生育が良くなると昔から信じられており、実際に、飢饉が起こるまでは麦の生育に障害など起きたことがなかったのだった。しかし、ホルトラスは、イグニス山の風がおかしいと考えていた。つまり、彼は、神池に何か異変が起きていると考えている。


 ホルトラスの話を聞いて、村長が言った。


「そんな……。蛇神様がワシらを苦しめるようなこと、なさるはずがないじゃろう?」


 村長は、あまりホルトラスの話を信用していないようだ。ホルトラスは、地べたに胡座をかいて、へたり込んだままの村長に、自分が考えていた疑念を口に出した。


「村長殿もお気づきじゃと思うが、魔獣が狂暴になった時期と、小麦が育たんくなった時期は同じじゃと思わんか? これは偶然では無いとワシは思うとるんじゃ。蛇神様のお力が弱くなったのではないじゃろか?」


 村長は、膝に手をついて立ち上がった。そして、目を閉じて腕組みし、「う~ん」と唸っていたけれど、しばらくして口を開いた。


「しかし、例えそうじゃったとしても、どうすればよいのじゃ……」


 ホルトラスが答える。


「ご神池の様子を見に行くしかないじゃろうのう。もし、以前のように蛇神様のご加護が得られるなら、この種も、もしかすればじゃ……芽を出すかもしれん」


 ホルトラスも、少し自信が無さそうだ。


「しかし、魔獣がのう……」


 村長は、また唸りだした。二人の会話が、一旦途切れ、しばらく思案した後、ホルトラスが言葉を切り出した。


「とりあえず次善策じゃが……村長殿、まずはこの事実をみなの衆に伝えるべき……」


「ちょっと待って!」


ーーーー

挿絵(By みてみん)

め、女神様の御業か?

AI生成画像

「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


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