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【トラウマ女神のやり直し!〜隷属の女神の伝説 王国編〜】♡♡♡僕は、女神最強加護の権能で世界の浄化をやり直すため、TSして過去と向き合う冒険の旅に出ます♡♡♡  作者: トンブタ
第4章 ローズ家事件

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060-4-9_お祈りの少女(挿絵あり)

 その子は、数本の蝋燭に照らされながら床に跪きお祈りをしていた。周囲にはその子ども以外、誰もいないようで、教会の中は、し~ん、として静まり返っている。その子は、僕たちを気にもせずに祈り続けていた。お祈りの邪魔にならないように、ヴィースと二人で後方の長椅子に座っていると、間もなくお祈りが終わった。

 その子はゆっくりと立ち上がり、数本の蝋燭の内、一本の蝋燭を燭台に移すと、後の蝋燭の火を手で煽って消し、こちらに向かって歩き始めた。


 女の子だね。僕やイリハと同じくらいかな?  


 女の子の明かりは蝋燭の火だけだから、こちらが見えないようだ。彼女は自分の足元を見ながら、真っすぐに通路を進んできた。まだ、僕たちには気づいていない。そして、蝋燭の火が僕たちに届く位置まで近づいた。その時。


「あぁぁぁーーーーっ!」


 突然、女の子が叫んだ! 彼女はきっと、蝋燭の明かりに、突然、人が映ったもんだから、ものすごく驚いたに違いない。女の子は床に転び、蝋燭を落としてしまった。落ちた衝撃で蝋燭は消えてしまい、辺りは真っ暗になって何も見えない。


「ヴィース、明るくできる?」


 すると、直ぐにヴィースが魔法で光を作り、教会の中は、蛍光灯を灯したかのように、たちどころに明るくなった。女の子の様子を見ると、彼女は、通路の床に四つん這いになっていて、蝋燭を手探りで探そうとしていた。そして、彼女はその姿勢のままヴィースと目が合うと、怯えたようにのけ反った。彼女の驚きの眼差しは、僕の方にも向けられている。


「ごめんね、驚かしちゃって」


 そう言って女の子の前に近づくと、またのけ反って、後退りしようとする。そんな彼女を観察すると、やはり僕と同じ歳くらいに見える。彼女の髪は肩までで色はオレンジ色、瞳はブラウンで、目尻の下がった優しい顔をしている。そして、ハイネックの白いインナーに茶色いワンピースを来ていた。少し瘦せているように見えるけれど、体格は、標準的な範囲かもしれない。

 そうやって彼女を見ていると、それまで怯えていた女の子が、僕の銀のチョーカーに気が付いてそれを指さして言った。


「どぅーれぇーうぃーでぇすぅかぁ?」


 あっ、この子、もしかして、耳が聞こえないんだね。


 僕は、自分の耳を触って指でバツ印を作り、その子を指さした。すると、女の子は口をつぐんで下を向いた。


 しまった!


 今のジェスチャーで、彼女を傷つけたかもしれない。


 ところが、女の子は僕に近寄ると両手で僕の首輪をそっと触り、心配そうな顔をして言った。


「いぃーだぁーくなぁーいぃーでぇすぅかぁ?」


 何んと、彼女はそう言って、僕のことを気づかってくれたのだった。


 この子、優しい!


「大丈夫さ」


 彼女には聞こえないだろうけど、そう言って女の子の両手を取り、ニッコリと笑って、彼女の目を見つめた。すると、そのつもりは無かったのだけれど、自然と、彼女の記憶が頭の中に流れてきたっ! 


 ほんの少しの静かな時間が過ぎる。そして……。


 あ~、そうなのか……。


 どうやら、この子は、生まれた時から耳が聞こえないようだ。そして、今、彼女は両親とは暮らしていないようである。


 何か事情があるみたいだね。


 段々と、この子のことが気になってきた。さらに、女の子の目を見つめる。今度は意図的に彼女の記憶を読む。すると、彼女がさっき何を祈っていたのかを知ることができた。


 この子は、両親の無事を祈っていたんだね。この子の両親はどこへ行ったんだろう?


 気になりだしたら止まらなくなってきた。でも、彼女がイメージしている顕在的な記憶は、今の内容くらいだから、これ以上、記憶を読み取ることができない。


 それなら、筆談をしてみたらどうかな? 


 彼女の掌に、「君の名前は?」と書いてみる。しかし、女の子は首を横に振った。


 「ダメか」


 文字を習ったことがないのだろうか。ただ、こういう世界ではそれほど珍しいことではないだろう。


 それにしても困ったな。


 そんな僕の様子を見ていたヴィースが言った。


「女神の祝福をなさっては?」


「女神の祝福? でもあれは、眷属の契約でしょ? いや、イリハやアリサともキスはしたけど……」


 そう言えば、イリハの場合は彼女の身体が回復したのだ。もしかしたら、女神の祝福をすれば、この子の耳が聞こえるようになるかもしれないのか? でも、女の子の意思を確認せずに勝手にしていいもんだろうか? 


 やはり、それは違う気がする。


 どうしようかと考えていた時、突然、祭壇の方からボンヤリと光る何かが飛びだした。それは、小さな光の粒を後方に散りばめながら、こちらに向かって飛んできた。目の前に来たそれをよく見ると、透き通った羽がある。


 妖精だ!

 

「へぇ~、初めて見たよ」


 それは、大人の掌くらいの大きさの小さな妖精だった。その妖精は僕たちの周りをぐるりと一周すると、女の子の肩に止まり、そこに座った。


 その様子を見てヴィースが言った。


「エインセルか?」


「そうよ」


 その妖精が答えた。


「エインセル?」

 

 よく見ると小さな女の子だ。彼女は、ひらひらとした緑色のドレスを着ている。


「エインセルって、君、なんの妖精?」


 妖精にそう聞いてみると、その妖精は呆れたように言った。


「あらっ、女神様のくせしてそんなことも知らないの?」


「あははっ、ゴメン、まだこの世界でそんなに長くないからね」


 なんだか言い訳みたいになっちゃったな。


 すると、ヴィースが説明をした。


「エインセルは子ども好きな妖精です。特に、何か特徴があるわけではありません」


 それを聞いたエインセルは、頬を膨らませた。


「何よそれっ! 馬鹿にしてっ! 変な竜っ! ちゃんと見なさいよ。ほらっ、こんなに綺麗なドレス着てるのよっ!」


 確かにヴィースはデリカシー無さすぎだね。


 そして、妖精は女の子の耳元で何かをささやいた。すると、彼女が驚いたような顔をして、僕とヴィースを代わる代わる見る。


「あの、今、彼女になんて言ったの?」


 エインセルにそう聞くと、彼女はぶっきらぼうに言った。


「あなたたちの事よ。何も知らない女神様と変な竜って言っただけ!」


「ホントにっ!?」


 エインセルは女の子と話せるんだ! 


「あのさ、彼女の名前は何て言うのか知ってる?」


「知ってるけど、言っちゃダメ」 


 エインセルはそう言って、女の子の肩からサッと飛び、彼女の顔の前でホバリングした。女の子はニコニコしながらエインセルを見ている。


 そうか、さっき名前を聞いた時、首を振ったのはそういうことなんだな。


 女の子は、何かの事情があって名前を言わないのかもしれない。それなら……。


「この子は、両親の無事を祈っているようだったけど、両親はどこにいるのか事情知らない?」


 そう聞いてみると、エインセルが教えてくれた。


「王様の兵隊さんにつれて行かれたって言ってるわ」


「王様の?」


 もしかしてこの子……。


ーーーー

挿絵(By みてみん)

……何も知らない女神様と変な竜って言っただけ!

AI生成画像


「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!


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重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。

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