表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トラウマ女神のやり直し〜 隷属の女神の伝説/王国編〜 ♡♡♡TSして最強美少女になったはいいけど、心まで女になるなんて聞いてない!♡♡♡  作者: トンブタ
第2章 男爵家の人たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/344

020-2-1_ダニール

 草原の道をしばらく走ると、地面の色が黄色から赤茶けた色へと変わった。周囲には灌木が混じり、道も随分と凸凹になってきた。


 ダニールは、少し馬の速度を下げると、後ろから声を掛けてきた。


「エリア! 聞こえる? ところで、君は、どこから来たんだい?」


 どこから? そう言やぁどこからだ? 設定あったっけ? 無いよね。


「覚えてないんだ。遠くから連れてこられたからさ。ここがなんて国なのかも知らないよ」


「そうなんだ……。すまない、余計なことを聞いてしまったね」


「いいよ、気にしなくて。それより、ダニールの知ってること教えてよ」


「ああ、もちろんさ」


 後ろを向けないので、彼と話すときは大きな声で話さないといけない。それでも、ダニールは、町の事など色々と教えてくれた。


「じゃぁ、さっきの町のことだけどさ……」


「今いた所ね」


「ああ。町の名はメルーズっていうんだ」


「メルーズ? へぇ、でも、ちょっと元気がなさそうな町だったよね」


「そうだな、昔は、もう少し活気があったんだけど。あの奴隷市場だって、僕が子どもの頃は劇場だったんだよ。大人向けのね」


「大人向け?」


「そう、大人向けさ。僕は行った事ないけどね」 


 当たり前だろ。数年前は君も未成年だよね? 


「あと、そうだな、今僕たちは、アトラス共和国って国にいる」


「アトラス共和国?」


「そうさ。この世界の二大大国の一つだよ。と言っても、もう、ここらあたりが国の境界なんだけどね」


「じゃぁ、僕たちが向かってるのは?」


「辺境国、クライナ王国さ……」


「辺境国?」


「そう。大陸の端っこってことだよ」


「へぇ〜」


 辺境国クライナ王国か。どんな国なんだろう……。


 方角は北へ、街道はまだまだ先に続いている。


 ダニールは、その後も話を続けてくれた。彼と話していると、旧知の友達と会話しているような気分になる。とても気さくな性格で、見た目もなかなかの好青年だ。髪の毛はブロンドでブルーの瞳、身長も高いし、きっと女の子にモテると思う。


 まぁ、性格が真面目というか、ちょっと臆病なところがあるんだろうね。奥手だな。人の事は言えないんだけど……。


 彼は、ひとしきり国や町の話をした後、今度は、自分の話を始めた。


「実を言うと、僕は料理人なんだ……」


「へぇ〜、そうなんだ。じゃぁ、ダニールはどんな料理を作るの?」


「僕が作るのは郷土料理さ。さっきのメルーズからまだ南に行くとマラケスという町があるんだよ。そこで、父さんから引き継いだ食堂を営んでいるのさ」


「オーナーシェフじゃん!」


「小さな店だよ。三年前に父さんが亡くなってね、僕は小さい時から父さんの手伝いをしてきたから、自然と店を継ぐことになっただけさ」


 ほぉ~、何だか共感する話だ。僕の本当の話ができれば盛り上がりそうだけどね。


 ダニールの店はこじんまりとしているが、彼曰く、常連客には人気があって、結構繁盛していたようだ。店の看板メニューは豆と鶏肉のスープらしい。


「……マラケスの家庭では豆がよく食べられていてね、特に豆を煮る料理は各家庭の定番なのさ。それで、父さんが工夫を加えてね、それが店の人気メニューになったんだ。結構美味いんだよ。僕も、その味を引き継いで、今でも良く注文が入るのさ」


「話を聞いているだけでいい匂いがしてくるよ。どんな味か食べてみたいなぁ」


「そうだな。僕も、エリアに食べさせてあげたい……」


 しかし、彼はそう言うと黙ってしまった。そして、ポツリと言った。


「……本当にスマナイ、エリア。僕は、自分の思いを叶えるために君を見殺しにしようとしている……」


 あ〜、また気のいいところが出てきたな。


「そうじゃないよ、ダニール。僕は、あのままあそこにいれば、どんな目に遭わされていたのか分からないんだからさ。ダニールは僕の事を助けてくれた王子様だよ」


「ハハハ。エリア、君は見た目よりも随分と大人だね。そうやって、僕の気持ちを気遣ってくれてさ」


「別にそうじゃないけどね。そんな事より、他にもどんな料理を作るのか聞きたいな」


「そうかい? じゃぁ、僕の店のメニューを全部話してあげるよ……」


 そう言って、彼は料理の話を続けた。彼の店のメニューには、メインの豆料理以外にも、獣肉のソーセージや獣肉のミートパイなんかもあって、どれも人気があるらしい。そして、夜は酒も出すそうだ。マラケスの酒はこの地方独特の香草をフレバーとして使っていて、結構癖があり、度数も高めとのこと。


 酒か。僕だって少しは飲めるんだからね。


 あと、魚のメニューは無いそうだ。新鮮な魚は、マラケスのような内陸では手に入らないと彼は言った。



 馬を休ませながらかなり長いこと走ってきた。

 景色も変わり、いつの間にか街道は森の中に入っていた。

 

 日は沈み、もう薄暗い。今日は野宿になるようだ。


 うほぉ~、冒険者みたい!


 ダニールが適当な場所を探しながら馬をゆっくり歩かせる。すると、大きな木が見えてきた。


「あの辺りがいいだろう……」


 そして、彼は馬を止め、大木の根元に今日の寝床を決めた。


「まずは薪集めだな」


 ダニールは、手際よく野営の準備をしていく。辺りは暗いけれど、薪はすぐ近くで集める事ができた。木の枝には、山ぶどうの実までぶら下がっていて超ラッキー! 焚火の火種はもちろん火炎魔法で簡単着火。そして、夕食はダニールが持ってきたパンと干し肉、さらに、さっき収穫した山ぶどう。干し肉は彼のお手製らしい。とても硬いけれど、塩味が効いてパンチがある味だ。


「おいしいね、これ」


「だろ? 特製のタレに漬け込んであるからね」


「流石は料理人だね」


「ハハハ。干し肉なんて料理とは言えないよ」


 彼はそう言って、嬉しそうにしている。


 それにしても、この肉なんの肉かな? 牛肉っぽいけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ