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165-8-32_謎の女性

 これを受け入れないと、イニシエーションは、失敗ってことになる。アクアディアさんに言われたように、私にとって、未知の存在である水の精霊を信じ、無条件に受け入れる。それが、受動の学びであり、水の精霊と魂を結びつけるための儀式……。


 でも、水の精霊って、怪物みたいだったらどうしょう? 子宮に受け入れるって、どうやって? どんな方法? きっと、何かを入れられるんだよ。ほら、前世でもよく見てたやつ、くねくねしたスライムみたいなのとか……。


 それは、流石にヤバすぎよ。う〜ん。でも、痛くないなら、いいのかな?


 軟体怪物に弄ばれる美女! 確かに、ああいう動画には興奮しちゃったけど、あれは、完全に男として見てたんだもんね。


 今は、襲われる側でしょ? ちょっと、興奮しちゃう? そんな訳ないっ! あ〜ん、もうっ! どうすんのっ! 


 私の中で、何が引っ掛かってるんだろう? 


 別に命が取られる訳でもないし、処女を守りたい訳でもないのよね……。あっ! そうだ! 分かったかも。きっと私、初めてなのに、その相手が、得体が知れなさ過ぎるからよ。


 私は、自分の身体を美しいと思っている。それにとても愛おしい。それなのに、例え四大元素の精霊だからって、もし、スライムみたいなのだったら、そんな魔獣に初めてをあげちゃう事になる。


 しかも、イニシエーションに同意したとは言っても、気持ちが拒否するなら、無理やりされるのと一緒じゃないの? そんなの、嫌よ! 絶対、嫌っ! 初めての時は、やっぱり、気持ちも大切よね。アリサに、ちゃんと聞いておけば良かったなぁ。


 せめて、初めてじゃ無かったら、良かったんだけど。


 アリサ……。


 何だか、アリサに会いたくなってきちゃった。あー、アリサの肌に触れたい。それで、アリサから、いっぱい、愛されたい……。


「……アリサとなら、良かったのに……」


 え~ん。私、どうしちゃったんだろう? 何だかとってもナイーブ。アリサとの、変な想像しちゃってるし、やっぱり、私には、受動の学びなんて無理っ!


「どうしたらいいんだろう……?」


「フフフッ。あらあら、随分とブルーになってますわね」


「……?」


 誰かの声!


 えっ? 今度は誰?


 アクアディアさんとは違う。


 顔を上げる。すると、突然、空間から黒い煙が湧き出し、煙の中から紫色の光の粒が現れ、それらがまとまって、透明感のある紫色の光の玉になった。そして、その光の玉から、人が現れたっ!


 水の精霊?


 とは、明らかに違った。その人物は、ストレートの黒髪を背中まで伸ばし、真っ赤な瞳をして、腰の左右に、それぞれの手の甲を当てながら水の中に立っていた。


 女の人だ! しかも、見たことあるっ!


「あ、あなたは……」


「しばらくぶりですわね。エリアさん」


「奴隷市場の……」


 彼女は、一矢纏わぬ姿で、優しく微笑んだ。


「フフフッ。覚えていただいてるようですわね。それにしても、とても良い傾向ですわよ。初体験を前にして、動揺するなんて、何て女の子らしいのかしら。ゾクゾクいたしますわ」


 確かに、ちょっとナイーブにちゃったけど、この女性の存在感が凄すぎて、そんな気持ちがどっか行っちゃった。この人は、奴隷市場に突然やってきて、子どもの私にクリトリアの種を飲ませた人だ。とても、禍々しく、畏怖の気を纏い、容易に人を近づけさせないオーラがある。


 そして……とても美しい。


 彼女は、顎のラインに少女のようなあどけなさがあるのに、身体は完全に大人の女性だ。華奢な肩に細い腕、青い血管が見える透き通るような白い肌。さらに、大きくてハリのあるバストの先には、大人の色をした形良い突起がツンとしながら僅かに外を向いていた。そして、しまったウエストに続き、おへその下の部分はふっくらで、まるで、瑞々しい桃の窪みのようだ。


 下半身がジンとする。


 ただ、彼女の雰囲気は、やはり禍々しさを伴っている。


「フフフッ。しっかりと、クリトリアの効果が出ているようですわね。わたくし、とても嬉しいですわ。エリアさん。良かったですわね。もしも、あのまま男の子の心でしたら、きっと、この儀式も、ただの無味な経験に終わってしまいますわよ。でも、今のあなたなら……」


 女性は、裸の体を誇示するかのように胸を張り、微塵も恥じらう様子がない。


「……この受動の経験はとても刺激的。ご自分の心が、この経験をどのように感じるか、新たな発見になりますわよ。とても楽しみですわね」


「た、楽しみだなんて……」


 同じ裸でも、この女の人の様に堂々とは出来そうにない。


「あら? そうかしら? でも、あなたさっき、気になることをおっしゃいましたわよ……」


 女性は、顎の下に右手人差し指を添えて、左手で右膝を抱え、思い出す様な仕草をした。


「確か……アリサなら良かったとか何とか……でしたわね。フフフッ。エリアさん。あなた、その、アリサという者となら、どんな事を想像したのかしら?」


「あ、あれは……」


 き、聞かれてたんだ。


 でも、本当の気持ちだから別に聞かれてもいい。さっき、私は、アリサとなら、そうなってもいいと思ったし、そうなりたい。だって、アリサはパートナーなんだから。


 彼女は、ゆっくりと目の前にやってきて、しゃがみ込んだ。


「エリアさん。ご自分の気持ちに、素直におなりなさいな。その者と交わりたいのであれば、そうすれば良いのですわ。ご自分の本当の気持ちに気付いたのですから」


「……」


 全部、バレてる。


 確かに、この女性の言う通りかもしれない。でも、そんな事、やっぱり恥ずかしくって言えない。


 女性が、じっと目を見つめてくる。さらに、彼女は、四つん這いになって近寄ると、顔を、グッと近づけてきた。


「な、何ですか?」


 たわわな二つの乳房が、目の前で揺れている。


「フフフッ。エリアさん。そのアリサという者に、いろいろと指南してもらったようですわね」


 女性は、太ももの間に手を挟み込んで来た。


「えっ? ちょ、ちょっと、や、止めてください!」

「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


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