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【トラウマ女神のやり直し!〜隷属の女神の伝説 王国編〜】♡♡♡僕は、女神最強加護の権能で世界の浄化をやり直すため、TSして過去と向き合う冒険の旅に出ます♡♡♡  作者: トンブタ
第8章 水の精霊のイニシエーション

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163-8-30_禊の池(挿絵あり)

 森の中は、木々の間を明るい日差しが差し込んでいて、その光がキラキラと輝き、とても美しい。それらの光が集まる陽だまりには、小さな花弁の青い花が群生し、誇らしそうに咲いていた。

 ほんのしばらく進むと、樹木の影の先に、ひと際明るい光が筋になって降り注いでいるところが見えた。陽光の先には、影になって少し暗くなった場所がある。どうやら、それは洞窟の入口のようだ。


「あれかな? また、洞窟ね」


 確かに、岩屋と言うだけはあるようだ。そして、日差しのカーテンを通り過ぎ、洞窟の入口に立つ。


「ここが水たまりの磐座なのかな?」


 そこからそっと中の様子を見ると、洞窟の中は暗く、先の方がどうなっているのか分からない。


「ここで、間違い無いのよね?」


 少し不安を感じる。しかし、ここまで来て、この洞窟がイニシエーションと何も関係ない場所だとも思えない。


「足元が良く見えないんだけど……」


 とは言え、先に進むしか無い。


「まだ、何か試練とかあるのかなぁ。怖いの、来ませんように……」


 慎重に足を進める。外からの光があるので、まだ大丈夫。しかし、ほんの数十メートルほど入ったところで道は行き止まりになっていた。


「嘘、もう行き止まり?」


 やっぱり間違えたのかも。でも、他に別の洞窟があった様子も無かったし……。


 そう思った時、突き当たりの壁の左側から、突然、青白い光が漏れ出した。


「あれ? 何か光ってる? ん? こっちに、何かの入り口がある!」


 洞窟の壁の微妙な出っ張りの影になっていて、そこに、入り口がある事に気が付かなかったけれど、今、そこから光が漏れてきた事で、その先に進むことができると分かった。


 壁には、身を屈めてしか通れない程度の入り口が開いている。青白い光の元は、その奥の方にあるようだ。


「それにしても、綺麗な光ね」


 小さな入り口から中に入る。身体をぶつけちゃうと、岩に当たって怪我をしそうだ。


 ゆっくりと慎重に入り口をくぐる。そして、下げていた頭を上げ、周りを見渡した。


 すると……。


「うわぁ! 何て幻想的!」


 その場所は、地底湖の様に広い空洞となっていた。


「池だ。でも、青く光ってる。綺麗~……」


 そこは、自然に出来たとは思えない均整の取れた岩壁の空洞となっていて、天井は平になっており、壁は全体が八角形の形をしている。そして、目の前には、直径二十メートルほどの丸い池があり、池の水は、まるで、蛍光塗料を溶かしたかのように、淡く青い光を発していた。


「この池、とっても不思議……」


 青白い光の元はこの池の水だったようだ。


「この池が、水たまりの磐座なのかな?」


 確かに、水たまりと言われればそんな気もする。しかし、磐座にあたるような岩は無さそうだ。改めて周囲を見渡してみる。池の縁を歩くことはできそうだけど、道というものではなく、また、出口らしき場所も見当たらない。


「やっぱり、ここで行き止まりのようね」


 どうしたらいいんだろう? 考えられるとしたら、この池に入ることくらいだけど……。でも、入った後はどうすればいいの? 池に入れば、それで、イニシエーションの達成になるのかな? そんなに簡単な訳ないよね……。


 しかし、この場所に導かれるようにして入ったのは確かだし、きっと、何かあるに違いない。頭で考えていたところで、答えも出ない。


「なら、入るしか無さそうね」


 池はそれほど深くも無さそうだ。


 取りあえず入ってみよう。


 そして、右足をそっと池の水に浸けた。


「冷たいっ!」


 すると、その時、頭の中に声が聞こえた……。


「禊の池です。何も身に着けてはなりません」


 念話? 禊って……。じゃぁ、ここが水たまりの磐座で間違いないのかな? 何も身に着けちゃいけないってことは……。


「丸裸!?」


 念話で話してみる。


「ショーツも取らないと、ダメ?」


「何も……身につけてはなりません」


 だよね。


 繰り返されちゃった。


 でも、ちょっと恥ずかしい。


 裸にならなきゃいけないんだ? 誰も来ないよね? 禊なんて、神社だったら手の先だけだと思うんだけど、身体全部を清めないとダメなんだよね。よく、白装束着て禊してるところ見たことあるけど、このワンピースもそんな感じなんだけど……。


 それにしても、念話の声、アクアディアさんにそっくりだ。というか、彼女で間違いないと思う。


 やっぱり、見てくれてるんだ。


 なら、脱いじゃう? それしか無さそうね。


 麻のワンピースを、頭からすっぽりと脱ぐ。


「このワンピース、結構気に入っているのよね」


 丁寧にそっと脱ぎ、軽く畳んだ。


 ショーツも、だよね……。


 明るいから、やっぱり、恥ずかしい。でも、裸にならないと、次のイベントが起こらないなら仕方ない。


 ショーツの端に親指を入れ、お尻の方から、じわっとずり降ろす。


「ホントに誰も来ないよね?」


 ワンピースの間にショーツを畳み入れ、水に濡れないように岩壁の側に置いた。


「これで良し、っと」


 手で、胸とお腹の下を隠す。何となく、誰かに見られてる気がする。


 アクアディアさんだけなら、いいんだけど、でも、タオルくらい欲しい。


「じゃぁ、入ります」


 そう念話で声にし、改めて右足を池に浸けた。


「うっ、冷たい!」

 

「池の中央まで進んでください」


 また、念話だ。


「中央ね」


 この冷たい水に身体を浸けるんだよね。


 ちょっと気合いがいる。


 ゆっくりと、一歩ずつ、池に入っていく。

 水の青い光と、水面の揺らぎが身体に反射し、白い素肌の上でその光たちが踊ると、身体全体がまだらな水色の照明で照らされているようだ。池の底にも、水面の模様が映って、揺れていた。


 綺麗な青だ。


 二メートルほど進むと、膝の高さまで水が来た。どうやら、池は、真ん中に行くほど深くなっている。


 冷たくて、引き返したい気持ち。でも、頑張る!


 そして、数メートル進み、池の中央あたりまでやってきた。水は、太ももの上の方まできている。


 ううう〜。やっぱ冷たいっ。身体まで、全部浸からないとダメかな? アクアディアさん、何にも言わないし、ダメなんだよね、きっと。ホント、水風呂みたいだわ。こういう時は、冷たいけど、一気に入る方がマシよ!


 ギュッと身体に力を込めて、息を止める。そして、一気に腰を下ろした!


 ザブンッと大きな音がなり、波が立つ。


「キャ〜。冷たっ!」


 でも、我慢。そのうち慣れてくるはずっ!


 腰を落とせば、肩まで水に浸かる深さがあった。髪の毛も、全部水に浸かっている。


 これ、絶対、風邪引いちゃうよ……。


 しばらく水に浸かっていると、段々、冷たさにも慣れてきて、身体の緊張を緩めることができた。


 禊って、これでいいのかな? 


 それにしても、この水、ホントに綺麗だ。


 手で水を掬う。特に浄化の効果などを感じたりはしない。


 だけど、何だろう? とても密度の濃い水のように思える。でも、よく考えれば、密度が濃い水というのも変だ。


 水は水よね。フフッ。


 自分の考えに笑えてしまった。


 それで、この次、どうするんだろう?


 そう思った時、突然、背後で足を水に浸す音がしたっ!


「うっ、嘘でしょ!? 誰っ?」


 咄嗟に、足を引き寄せて丸くなり、顔だけで後ろを振り返る。


「なっ!?」

 

 驚きで、次の言葉が出てこない。


 そんな事って……何で? 私……。


 でも、違う。そんな訳ない。誰かが、私に変身しているに違いないっ! 


 その私は、一切、何も身に着けず、今の私と全く同じ姿をしている。


「あなた、一体、誰なのっ!?」


 しかし、その私は返事をしない。それどころか、まるでこちらに気が付いていないかのように、ゆっくりと真っ直ぐに向かってくる。 


「ちょ、ちょっと、何なのよ!」


 立ち上がって、その私と面と向かったけれど、目を見ても、微妙に視線が合わない。その私が止まらないので、少し、後ずさると、彼女は、そのまま、ザブンと腰まで水に浸かった!


「……!?」


 一瞬、思考が止まってしまう。


 えっ! これって……。


 見紛うことも無く、数分前の私だ。


「何? どうなってんの?」


 しかし、その私は、そのまま色を失い、形まで失って、たちまち透明の水になってしまった……。


 ん!?


 全く意味が分からない。


 何が起きている?


「何、何っ!? ちょっと、ヤバい!」


 早く、この池から出ようっ!


 慌てて入口の方に向かった。


「水って、重いわねっ! もうっ!」

 早くしないとっ!


「キャッ!」


 水に足を取られて、前のめりに倒れ、顔まで水に浸かってしまった。


「もうっ、何なのっ!」


 しかし、直ぐに立ち上がる。ところが、その時……。


「え~~~~~~っ!」


 目の前に、水の柱が立ち上がったかと思うと、人型になった。


 そして、色が着き……。


「嘘? また……私だ……」


 その私は、さっきとまるっきり同じように、池の中央まで行くと、一気に腰を下ろし、そして、水に還った……。


「ど、どうなってんの……?」


 呆然と立ち尽くす。


 そして、また……。


 新しく現れた私は、また、色が着いて寸分違わぬ私になり、池の中央に向かう。


 何が起きているのだろう?


 意識が、完全に受け身になってしまっていた。


 次の私が、池の中央まで進む。驚きのあまり、固まって動けない。そこで、また、その私は、肩まで浸かり……。


 水に還る……? 


 かと、思へば……。


 ん?


 ちょっと、タイミングがおかしい。


 あれ? まだ、腰を下ろさない……。


 その私は、背中を向けたまま立ち止まっている。


「な、何? どうしたの……?」


 鼓動が高鳴ってくる。


 ふ、振り向いたり、しないわよね……?


 しかし、突然、その私の方向から声が聞こえたっ!


「女神……ガイアの子よ……」


「しゃ、しゃべった!?」


ーーーー

挿絵(By みてみん)

禊の池

AI生成画像

「面白いかも!」


「続きが気になるぞ!」


「この後どうなるのっ……!」


と思ったら


下の ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願い申し上げます。


面白かったら星5つ、つまらない時は星1つ、正直に感じたお気持ちで、もちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当に励みになります。


重ねて、何卒よろしくお願い申し上げます。

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