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127-7-8_美少女サリィ(挿絵あり)

「え?」


 いつか会える? 


 自分の考えたことにしては、突拍子もない言葉だ! これは、イリハやラヒナのときに言葉が浮かんだ時と同じ、インスピレーションで間違いない! それなら、サリィは、本当のお母さんと会えるってことか? 


「いつか会える?」


 そう自問してみた。すると……。


「彼女の本当の母親は、生きています」


 うそ? 会話ができた!?


「ど、何処で?」


 しかし、それ以上、言葉は浮かばなくなってしまった。でもインスピレーションのとおりなら、サリィの母親はどこかで生きているってことだ。そのことが分かっただけでもサリィの希望になるに違いない。


 ただ、出所不明で、僕にしか実感のない情報だ。どうやって彼女に言えばサリィの心に伝えられだろう……?


「どうなさったのですか?」


 アリサが、僕の様子に気付き、尋ねてきた。


「アリサ、唐突なんだけど、どうやら、サリィの本当の母親は生きているようだよ。何処で生きているかまでは分からないんだけど、いつか会えるってことらしい……」


「そ、そうなのですか? 分かりました」


 アリサは、脱いでいたメイド服を着ると、手早く整え、腰に手を当てながら自信に満ちた声音でサリィに言った。


「サリィ! あなた、本当のお母さんのこと知らないんでしょ? 私は知っています。あなたのお母さんは、どこかで生きています。エリア様がそう仰るのだから、間違いないわ」


「ア、アリサ、ちょっと、強引じゃないの?」


 そんな簡単に言っちゃえば、サリィだって不信に思うんじゃ……。 


「ほ、本当ですか?」


 サリィが、とても興味を持った目をしている。


 あれ?


「そうよ、あなたを産んでくれた本当のお母さんよ。さっきからあなたが言っている、あなたを苦しめてきた人はお母さんじゃないの。あなたの大切な身体を、傷つけるなんて本当のお母さんなら、そんな事、絶対しません。私たちと一緒に、あなたの本当のお母さんを探しましょう! だから……」


 アリサはそう言って、サリィに、僕の治療を受けるように促すと、サリィは、少し目を伏せ、呟くように言った。


「私の……本当の……お母さん……」


 サリィはそう言って、一瞬、間を置き、次に、顔を上げて遠くを見るような目をすると、突然、こちらに向き直り、今度は、はっきりと言った。


「わ、私、探したいっ! 本当のお母さん、探したいっ!」


 サリィが僕を見る。彼女の目の奥に決意のような光が見て取れた。


 アリサ凄いね! サリィの心が開いたよ。


 アリサとアラクネが同時に頷く。

 

「それなら、サリィ、そのまま、目を閉じていてね」


 そう言って、すかさず、サリィにキスをする。


「チュッ!」


 サリィは、一瞬、あっけにとられたように目を見開いた。女神のエネルギーが、彼女にどんどん流れていく。今までにサリィが負った傷の分エネルギーの流れる量が多いようだ。サリィは、最初、力が入っていたけれど、数秒後には力が抜けて柔らかい唇になった。まだ、小さくて幼い感じがするサリィの唇だけど、しっとりとして、とても瑞々しい。


 なんだか、うっとり……。


 それなのに、サリィは、そのまま顎の力まで抜いてしまって、口を半開きにしているから、自然とからまってしまいそうで……。


 さっきから、散々、視覚的に刺激されて、その余韻も残っている。もう、お腹の下がジンジンとして、大変。

 

 三十秒ほど唇を重ねた後、そっと彼女から離れる。サリィも、潤んだ目を少し開いて、ぼんやりとしていた。


 強いヒーリング効果で、細胞が全部生まれ変わっちゃったからね。でも、もう大丈夫。


 彼女は、我に返ると、布団の下から自分の胸をさわり、確認した。


「な、治って……る?」


 彼女の目が大きく開かれ、とても驚いている。 


「見せてみなさいっ!」


 少し、自身が無さそうにしているサリィだったけれど、アリサがその布団を勢いよくめくり上げてしまった!


「キャッ!」


 サリィは慌てて、手で胸を隠す。


「本当ね! エ、エリア様、凄い……です……」


 アリサが、言葉に詰まる。


「ご、ご覧ください……サ、サリィが……サリィの身体が、治って……」


 アリサが、涙を流し始めた。サリィの身体は、アラクネが見せた身体のように、透明感があって美しくきめ細かな肌をしていた。火傷の痕はもちろんのこと、細胞一つ一つの生命力が見違えているため、全身隈なくエネルギーに満ちている。


 身体だけじゃないんだよね。魂だって、強くなってるよ。


「良かった……サリィ……本当に……良かった……ううっ……」


 アリサは、サリィを妹のように心配をしていたのだ。サリィの回復した身体を見て、彼女は、それまで張り詰めていた気持ちが一気に抜けてしまったのだろう。


 アリサは、ベッドに這い上がり、サリィを抱きしめた。


 サリィが、僕のキスを受けてくれて、本当に良かった。アリサのお陰だね。


 アリサは、サリィから離れると、彼女に言った。


「サリィ、あなた、治った身体を、エリア様にちゃんとお見せしないと」


「は、はい……」


「えっ? い、いや、治ってるんならもういいよ」


 本当は、見たい。


 すると、サリィが残念そうに言った。


「わ、私の、身体は、や、やっぱり、見せてはいけない……」


「ち、違うよ。あぁ、そうだね、ちゃんと見ておこうか。治ってるかどうかね……」


 サリィはベッドから降りて、目の前に立った。ショーツ一枚の姿で。サリィの胸は、華奢な身体の割りに、たわわな乳房をしている。透き通るような白い肌に、血管が青く透けていて、もうすでに妖精のようだ。


 やっぱり、き、綺麗……。ニンフのセイシェル王女もビックリだよ。で、でも、刺激が強すぎで、ヤバい。しかし、何を考えているのか、サリィはショーツまで脱ぎ始めた。


「な、何……してるの?」


「お、お尻も、見てください。火傷、き、消えてますか?」


 サリィはそう言って、後ろを向いた。


 お、お尻……。


 少女のようなサリィの背中は、皮膚が薄く、腰のくびれとキュートなお尻がとても清楚に見えて聖女のように凛とした美しさがあった。ましてや魔法ライトの仄かな光の下で見るサリィの後姿は神々しささえ滲み出ていた。


「ほ、本当に、き、綺麗……だ……」


「あ、ありがとう、ご、ございます」


 サリィは、恥ずかしそうにしながらショーツを履き、そして、壁に掛けていたメイド服をハンガーから外し、それを頭から被ろうとした。すると、アリサは、サリィのメイド服を取り上げて言った。


「サリィ、もう、あなたは、このメイド服を卒業しなさい」


 そう言って、アリサは足早に部屋を出ていき、直ぐに戻ってくると、彼女が抱えて持ってきた別のメイド服をサリィに差し出した。


「さぁ、これを着なさい。少し大きめかもしれないけど……」


 アリサが持ってきたものは、彼女が数年前に着ていたものらしい。


「いいんですか?」


 サリィはそう言って、アリサから渡されたメイド服に着替えたはじめた。そのメイド服は、裾が膝上丈になっており、上半身は少し胸の開いたデザインになっている。


 か、可愛いね、サリィ……。


 サリィの細い膝下が、キュートさを増している。それに、胸が強調されていて、メイドコスプレのようだ。アリサが、サリィの周りをぐるりと周回し、チェックする。


「なんとかいけそうね」 


「みんな驚いちゃうだろうね」


 絶対驚くと思う。僕だってドキドキするのだから。


「は、破廉恥ですか?」


 サリィが心配して言った。


「とんでもない。サリィの魅力が溢れてるよ」


 本当に、サリィは見違えるほどだ。


 サリィは姿見に自分を映し、振り返ったりしながらチェックしていた。そうした様子を微笑ましく見ていたアラクネが、そっと、耳元に小声で話しかけてきた。


「女神様。これで、私の肩の荷も下りました。私は、この子から離れようと思います。それで……」


 アラクネは、その続きを念話で話した。


「私が、離れれば、この子の感情は元に戻ります。そうすれば、養母から受けた虐待による恐怖の感情が湧きあがってくるでしょう。しかし、女神様の祝福をいただいた今であれば、サリィは、きっと、その感情に向き合えるはずです」


「ちょっと待って! アラクネっ!」


ーーーー

挿絵(By みてみん)

か、可愛いね、サリィ……。

AI生成画像

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