000 プロローグ(挿絵あり)
今より約一万三千年前。
魔法文明が花開いたガイアの地に、女神はひとつの種を落とした。
その名は――エリア。
ガイアの血を受け継ぎ、調和の理をもたらすはずだった少女。
けれども、繁栄の陰で歪んだ人の世は、女性を象徴する女神の子を拒絶する。
極端な男の支配が蔓延する社会の中で、彼女は、その強大な力を恐れられ、忌まれた挙句、祝福されるべき十八の巫女の祝祭の日――とうとう、仕組まれた悪意が、彼女を陵辱した。
その瞬間、世界は静かに崩壊へと向かい始める。
絶望の中、心に刻まれた恐怖から逃れるため、禁忌の力を解き放ってしまうエリア。
その慈悲なき裁きに曝されたあらゆる生命は、一瞬のうちに輪廻へと還ってしまうのだった。
やがて、人類滅亡の嵐は、栄華を誇ったガイア文明をも呑み込み、世界から光が消えた。
――しかし、それでも、人の魂は命の織物を紡ぎ続ける。
時が経ち、ガイア世界に新たな文明が芽生えると、エリアの魂は輪廻の流れに身を委ね、心の傷と向き合おうとする。
ところが、幾千の時を経たとしても、彼女の魂に深く刻まれた傷は癒えることはなかった。
そうして、いつしかエリアは、記憶を封じたまま、別の世界――地球で、男として生まれ変わるようになっていった。
全てを忘れ、ただ、波に漂うように生きる彼女。
けれど、心の奥底で眠る浄化の“光”は消えず、女神は静かに、それを見つめ続けていた。
そして現代。
再び、ガイアは決断する。
――この世界の歪みを正すために。
そして、エリアの心を、もう一度癒すために。
女神は祈りとともに呼びかけた。
「エリア・ヴェネティカ・ガイア――もう一度、目を開けなさい」
魂の核に届いた声は、何も知らない水沢和生を、意味ある偶然の一致へと導き、背中を押した。
再生の地へ。懐かしい痛みとともに。
それは、悲劇の女神が“本当の自分”を取り戻していく物語の、始まりだった――。
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エリア・ヴェネティカ・ガイア(戦闘モード 槍)
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エリア・ヴェネティカ・ガイア
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イリハとエリア
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