城塞都市ケルニヒベルグ⑨
「我々は勝利した。」
以前出陣式を執り行った。城塞都市オストプロシア中心にある広場に領主の声が響いた。一週間前まで戦場となっていた城塞都市ケルニヒベルグの索敵並びに犠牲者の回収が終わり、ようやく領主の宣言がなされた。やはり城塞都市ケルニヒベルグには生き物の影はなく、猪頭鬼と兵士たちの亡き骸だけが累々としていた。
「我々は大きな犠牲の上に勝利を得た。」
前回の死者が出なかった遠征の時ほど、今回の勝利は早い盛り上がりを見せなかった。それほどまでに兵士が死んだのだ。事実死んだ兵士たちを後送するのに療養院のスタッフだけでは手が足りず、生き延びた兵士たちの手伝いを要した。そして昨日最後の遺体を帝都へ後送し、本日の凱旋式を迎えることが出来た。領主の言葉通り、この勝利はあまりにも大きな犠牲の上に成り立っていた。
「だが諸君、この勝利の喜びを分かち合おう。戦いに倒れた勇者たちの魂とともに。」
この言葉と同時に領主は右手に持っていたジョッキを高々と掲げた。この動作に群衆は湧いた。それぞれが手に持っていたジョッキを高く掲げ、そしてそれを飲み干した。彼らのジョッキは軽く、心は歓喜に満ちている。凱旋式の始まりは、まさにこの素晴らしき勝利を象徴していた。




