城塞都市ケルニヒベルグ⑥
一体、また一体と焼け焦げた肌から煙を揺らめかせながら、猪頭鬼たちは城塞都市ケルニヒベルグの城門跡に殺到した。しかしそこには長い槍で槍衾を形成し陣を整えた兵士たちが待ち受ける。その後ろからは弓矢や石礫が猪頭鬼目掛けて飛来する。行くも地獄、戻るも地獄の状況に猪頭鬼たちは狂ったように槍衾目掛けて突っ込んでくる。やけくそとも言えるその突進は弓矢、石礫と言った飛び道具に臆することなく、猪頭鬼たちは全速力で走る。その先に待っているものが無数の槍で、それが自分の体に食い込むことがわかっていても猪頭鬼たちは死の突撃を辞めなかった。気が付けば焼け焦げた猪頭鬼の骸がごろごろと転がる、猪頭鬼が優位だった時代に想像もできなかった光景が描かれていた。
太陽が傾きかけて来たころ、炎の中から飛び出してくる猪頭鬼はその姿を見せなくなっていた。このまま一気呵成にと事を焦らず、兵士たちは退却の準備を始めた。城塞都市ケルニヒベルグが火に包まれて、その明かりがあるとは言え、夜目が効かない人間が夜に戦うのは不利との判断から退却の指令が下った。大勝利ではあったがそれなりの犠牲も払っている、負傷兵はもちろん回収できた仲間の遺体を早く連れ帰ってやりたい、そんな心理も退却を進めていた。かくして未だ炎に包まれたままの城塞都市ケルニヒベルグを後に、兵士たちは凱旋を始め、城塞都市ケルニヒベルグ攻城戦初日は人間たちの大勝利に終わった。




