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城塞都市ケルニヒベルグ④

 かつて迎賓館と呼ばれた建物がとうとう燃え墜ちた。燃え墜ちた建物の向こう側には数体の猪頭鬼(オーク)が見受けられた。先遣隊の弓兵は反射的に矢を射かけ始めた。燃え盛る建物が木柵(パリセード)の代わりに猪頭鬼(オーク)たちの進行を阻んでくれている。飛び道具を持たない猪頭鬼(オーク)たちは退却を余儀なくされた。それをみて先遣隊は後続の部隊を招き入れる。人間たちは炎を味方につけ、元々己が領地だった都市を焼き尽くしながら、猪頭鬼(オーク)をしらみつぶしに駆逐する方法を選択し、その作戦は明らかに功を奏していた。


 次々と建物に火をかけ、そこから飛び出してくる猪頭鬼(オーク)を始末する。木柵(パリセード)のない戦いは少なくない前衛の犠牲を生んだが、人間には数の有利があった。城外戦では群れを成して襲い掛かってきた猪頭鬼(オーク)たち、それは連携ではなくただその場の勢いに乗じた行動であった。それがいまや廃屋に怯え隠れる存在となった猪頭鬼(オーク)たち、彼らには同じ建物に一緒に隠れるような協調性も、炎に燻り出された仲間を救いに向かう連帯感も無かった。


 また一体の猪頭鬼(オーク)がむしゃらになって燃える建物から襲い掛かってくる。死の直前まで果てることは無い闘争本能で、炎に焦げた拳を振るい数名の兵士たちを薙ぎ払う。猪頭鬼(オーク)がその殺戮の愉悦に笑みを浮かべた瞬間、殺しきれなかった人間たちによる復讐の槍や弓矢が襲い掛かる。何もできずに無数の武器に貫かれ、地に伏した猪頭鬼(オーク)、最後の槍を自身に向けられたその表情は恐怖に歪んでいた。


 こうしてケルニヒベルグ城内では猪頭鬼(オーク)と人間による生き残りを懸けた凄惨な殺し合いが各地で繰り広げられていた。


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