表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/134

鴬塚小夜②

 ヴィルヘルム・アイントホーフェンにサヨさんと慕われる女性、彼女は鴬塚小夜(おうつかさよ)という名前の日本人である。若いころから容姿には自信が持てなかった小夜ではあったが、努力家で理系肌の加代子は高校を卒業後看護師を目指した。自身が想像するよりも遥かに優秀な成績で看護学校を卒業し、地元の中核病院で働き始めた。新人時代から所謂(いわゆる)看護師のお姉さん役、プリセプターを唸らせるほど優秀で努力家な小夜。気づけば三十路を迎える前に勤め先の感染対策室付き研究主任となる異例の大抜擢を現実のものとしていた。小夜はその知識と熱意が買われ、医師からの信頼も厚く、看護師以外の医療従事者、コメディカルスタッフにも慕われていた。



 小夜は人生の大半を仕事に充てていたが、残った時間は酒と趣味に費やしていた。仕事が終わり、自己研鑽の研究を終えた小夜の楽しみは、仮想現実の中にあった。現実とは違うVRの世界、そこは美しいものであふれており、その世界に足を踏み入れた小夜も例外ではなかった。仮想現実空間でSAYOを名乗っていた小夜は、すらりとしたスレンダーボディにちょっと吊り目なぱっちり二重、八頭身の小顔をシャギーが入ったブルーのショートヘアーが飾る、狐のような耳と尻尾が愛嬌(あいきょう)を増す、そんな姿をしていた。そしてそこの住人たちはSAYOに負けず劣らず見目麗しく、可愛い、美しい、麗しい、艶やか、そんな装飾語が飛び交う世界。世界への没入感を増すためのヘッドホンからは、脳をとろけさせるような甘く美しい声が漏れ出る。この世界の小夜は美しい姿を持ったSAYOとして、快活に生活を楽しんでいた。現実世界の美女たちのようにおしゃれを楽しみ、時には歌い舞い踊った。仮想現実空間内の麗しき男性たちとロマンスを語らうこともできた。この仮想空間の中でだけは。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ