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感冒⑫

 小夜はついうたた寝をしていたようだ。暗がりの中目を覚ますと、目の前にはエルフェリンが静かな寝息をたてている。ベッドサイドテーブルのランプによるわずかな明かりでは伺い知れないが、エルフェリンの顔色は改善しているようにも見えた。顔色を観察するためランプを取りに立ち上がろうとエルフェリンの横たわるベッドに手を置いたとき、そのベッドが湿っているのに小夜は気づいた。


≪もしかしてまだ吐き戻したのかな?≫


 しかしエルフェリンには嘔気に苦しむような素振りは見えない。ヴィルヘルムの施術の精度を思えば、腹腔内に入れた水が漏れてくることもあるまい。思わず濡れた自分の手を嗅いでみる小夜、その匂いは明らかにアンモニア臭であった。そっとエルフェリンの毛布を剥ぐと彼女の黒いワンピースと下着はびしょびしょに濡れていた。


≪久しぶりにやったな、エルフェリン。≫


 小夜はエルフェリンの粗相(そそう)に、そしてそれをもたらした()()()()()()()に心底感謝した。脱水状態にあったエルフェリンの体はその腹膜から腹腔内に注がれた水分を吸収し、全身に行き渡ってその一部が尿として排出された。脱水症にて利尿(尿が出ること)が得られるのはその改善の兆しである。エルフェリンは脱水症による危機を脱したのだ。小夜はエルフェリンがやらかした久しぶりのおねしょを心から喜んだ。そして階下で眠っているテオドールとヴィルヘルムを起こさぬように、そっとエルフェリンの着替えを準備し始めた。小夜は感激のあまりまたもや涙でマスクをずぶ濡れにし、一晩で替えのマスク数枚を要した。


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