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感冒⑤

 家に戻った小夜が見たものは、ぐったりと床に倒れ自分の吐瀉物(としゃぶつ)にまみれたエルフェリンの姿であった。


≪朝は何ともなかったのに。≫


 一目看てエルフェリンもインフルエンザに感染したと分かった。小夜はマスクをしてエルフェリンの吐き戻しをきれいに拭き取った。そして床の上で汚れた服を新しいものと変え、エルフェリンを両手に仰向けで抱えた。その時エルフェリンが苦痛に呻いた。この時小夜は得も言われぬ違和感に襲われた。体はだらんとしているのに、首だけが固い。エルフェリンを二階のベッドに横たわらせ、そっと頭を持ち上げようとする小夜、やはり首が固くエルフェリンは苦痛に呻いた。


≪やっぱり項部硬直(こうぶこうちょく)、てことは髄膜炎(ずいまくえん)。≫


 小夜は自分の導き出した診断に泣きそうになっていた。髄膜炎とは脳や脊髄の周りを覆っている髄膜に炎症が波及し、発熱や強い頭痛、そして首が固くなる項部硬直を伴う疾患である。おそらくはインフルエンザウィルスがエルフェリンの体奥深くにある髄膜に達してしまったのであろう。高熱はともかく、激しい頭痛を伴う髄膜炎、小さなエルフェリンがこんなひどい病に侵されるのが小夜には悲しかった。しかし惻隠(そくいん)の情はあってもその時の小夜に緊迫感はなかった。ウィルス性の髄膜炎なら一週間ほどで後遺症もなく治るのが一般的だ。治療と言っても解熱鎮痛剤の投与か水分不足を補う補液程度、いわゆる対症療法(病気の原因を治療するのではなく、その症状を治療する方法)しかないのは小夜の元いた世界でも同じだった。


≪仕方ない、後で柳の樹皮を分けてもらいに行くか。≫


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