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呪われし大地⑧

 戦闘指揮を執った作戦司令官は信じがたいほどの完全勝利に言葉を失っていた。確かに今回の戦いにおいて、いつもの遠征よりも多く兵士たちを連れてきた。これが可能であったのは、もちろん最近の兵士死亡率低下に伴い、兵士の絶対数が増えたためである。さらに以前は新兵ばかりが震えて並んでいた前線には、数回の戦闘を経験した猛者たちが並んでいた。そして弓兵たちは強力な障壁となった前線兵士を信頼し、以前は及び腰で放っていた矢を堂々と射続けた。さらに前線兵士が崩れないと確信した後列兵士は石礫で弓兵を援護した。そして『爆炎術師』たちは退却を考えることなく、施術に集中できた。


「だからと言って、信じられない。死者0、かすり傷を負った者すらいないとは。」


 作戦司令官はその驚きを思わず声に出して呟いた。そんな作戦司令官の前で完全勝利の歓喜に沸く弓兵の一人がうっかり転倒した。その弓兵は笑いながら擦りむいた膝の土を払い、すぐに立ち上がった。その擦過傷を負った弓兵を見て作戦司令官は笑った。


「負傷者は一名か。」


 今回の作戦はいつもと同じように猪頭鬼(オーク)の数を減らすのが目的であり、城塞都市ケルニヒベルグの制圧までは含まれていなかった。聡明な作戦司令官はこの勢いに乗じて城塞都市ケルニヒベルグに乗り込むことはせず、この完全勝利をオストプロシアに持ち帰り、軍議にて城塞都市ケルニヒベルグの制圧がもはや夢ではないことを報告することとした。悠然と退却する兵士たちの後方を警戒する殿軍(しんがり)の兵士たち、彼らの目にも追手の猪頭鬼(オーク)は見えなかった。兵士たちは高らかに凱歌(がいか)を歌いながら城塞都市オストプロシアに凱旋した。

 

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