呪われし大地③
大演説をぶちまけた挙句、酔い潰れて療養院で眠ってしまったゲオルグ。ようやく訪れた静寂が今夜の飲み会を終了させた。巨体に似合わぬ可愛らしい寝息をたてながら眠るゲオルグを療養院のヴェルナーとテオドールに任せ、小夜はヴィルヘルムに送られながら帰路に就いた。その帰り道、ヴィルヘルムが己が持つ不安を口にした。
「城塞都市ケルニヒベルグの呪われし大地、心配です。」
「おやおや、呪いなんて、天才『治療術師』ヴィルヘルムさんの口から洩れる言葉とは思えないなぁ。君が行う施術のようなものなのかい?」
話す言葉の端々にからかいが混ざる。小夜も勝利を祝う美酒に当てられているようだ。
するとヴィルヘルムはむすっとその両口角を下げながら答えた。
「そんな話じゃありません。」
拗ねるヴィルヘルムを見て小夜は自分の非礼を詫びた。その潔さに驚く隙をヴィルヘルムに与えず、小夜は聞いた。
「呪われた大地って何の話?」
ようやく真面目に話を聞いてくれるようになった小夜に、ヴィルヘルムは文節を刻むように話し始めた。
「むかーし、むかし、まだ城塞都市ケルニヒベルグが人間の世界だったころの話です・・・・・・。」
「笑っちゃうからその入り方やめて。」




