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呪われし大地②

 かくのごとく前線が強固な城壁と化した今、その後方からの攻撃はその威力が増した。弓兵たちは自分たちに|猪頭鬼(オーク)《オーク》の爪や牙が及ぶ心配を忘れて矢を飛ばすのに没頭出来るようになった。『爆炎術師』たちも前線が崩れないという安心に支えられ、その施術に勢いと破壊力を存分に乗せることができるようになった。さらには最前線より後方の兵士たちも、手当たり次第に石礫(いしつぶて)猪頭鬼(オーク)たちに投げ込み始めた。人よりも大きく、力強く、恐ろしい猪頭鬼(オーク)ではあったが、彼らも死を恐れない不死の生き物ではなかった。猪頭鬼(オーク)たちの目の前には木柵の後ろから勇猛にその槍を振るい、その後ろから飛んでくる石礫や弓矢が彼らに降り注いだ。さらには余裕をもって放たれる、『爆炎術師』による大爆発。今までの戦闘が嘘であったかのように、防戦一方であったはずの人間たちはその優勢を手に入れた。気が付けば城塞都市オストプロシアが最前線となる前の前線基地、かつての城塞都市ケルニヒベルグ目前までその勢いを及ばせることができるようになっていた。



「信じられません。こんな大戦果を得られるなんて。」


 押しかけた療養院でビールを煽る巨体のゲオルグはすでにその目から涙を幾筋もこぼしていた。相も変わらず涙腺が崩壊しやすい彼はその涙の量が小夜への感謝であると言わんがばかりに続けた。


「サヨ殿が作ってくれたこの傷病兵後送の実践、これが我々の勝利を生んだのです。貴女こそ、貴女こそ、救国の英雄です。」


 言いたいことを言い終わってから泣き崩れるゲオルグ、それを微笑ましく見つめる小夜とヴェルナー、そしてテオドール。ただ一人自分の導師(メンター)を長々と独占して演説を続けるゲオルグにむすっとするヴィルヘルム。皆が勝利の美酒に喉を潤す中、ヴィルヘルムだけが苦い酒にその美しき眉間を歪めていた。

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