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訓練場での事故④

「大丈夫ですか?何か食べられそうですか?」


 テオドールは未だ顔色不良な兵士に話しかけた。胸の傷はすっかり塞がっているはずだが、その兵士は青白い顔で首を横に振るのみであった。胸の傷はすっかり塞がっているのに、兵士の症状が改善しない、それがテオドールの不安を掻き立てていた。ヴェルナーは先ほどの『治療術師』オイゲンの帰路に付き添い、テオドールと兵士は二人きりで療育院に残されていた。見れば治療を受けた兵士の首には大きな青筋が現れ、それはどんどん大きくなっている様にテオドールには見えた。兵士の呼吸はだんだん早くなり、それに伴ってテオドールの鼓動も早くなっていく。しかしどうすればいいのか、見当もつかないテオドール、助けを呼びに行こうにも兵士を一人残すことは出来ない。テオドールは葛藤(かっとう)の中にいた。


 意外な救いが苦悩するテオドールのもとに表れた。それは長さの揃わない青髪から愛らしい三角形の耳を覗かせる侵入者、一人での留守番に退屈したエルフェリンであった。エルフェリンは留守番に退屈していたが、講演中の兵舎に行けば小夜に怒られるのを理解していた。結果暇を持て余したエルフェリンは療養院に遊び場に選んだようだ。これは天啓(てんけい)だと、テオドールは確信した。この愛らしいエルフェリンは息も絶え絶えになっている兵士と自分を救いに来てくれたのだと。テオドールは叫んだ。


「エルフェリン、サヨさんを、ヴィルヘルムさんを連れてきてください。」


 エルフェリンは可愛らしく頷いた。テオドールに笑みがこぼれた。走り去るエルフェリンを見送りながら、テオドールの願いは兵士が回復することから、エルフェリンが自分の言葉を理解することに変遷(へんせん)していた。


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