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軍議②

「では本題に戻りましょう。」


 真っ赤に染まったままの小夜をよそにゲオルグが語り始めた。


「我々の不利は、覆され始めました。その歩みは遅いが、猪頭鬼(オーク)を屠ることができるようになりました。」


「だがまだまだ城外での死傷者は多いのです。かと言って貴重な『治療術師』やサヨ殿を城外に出すわけにもいきません。」


「サヨ殿、城外で負傷した者たちを一人でも多く生きて療養院に、療養院の天使のもとへ届ける方法を教えてください。」


 ゲオルグの雄弁はその太い腕を振るいながら、ごつい拳を握りしめながら行われた。その姿は真摯に兵士たちの生還を願う気持ちに溢れていた。ようやく普通の色に戻った小夜は独り考えた。


≪要は戦場での応急処置を教えてくれってことね。≫


 小夜はゲオルグに教えを乞われた際、戦闘の方法についてのアドバイスを頼まれていると誤解していた。もちろん看護師の小夜にそんなノウハウがあるはずがない。だがしかし戦場における負傷者の応急処置なら彼女にも教えられる。いや彼女こそがこの世界ではエキスパートと呼べる存在であろう。


「是非お力にならせてください。」


 立ち上がり深々と頭を下げる小夜を見て、ゲオルグは感謝の涙を流した。その間に挟まれたヴィルヘルムは腕組みをしがなら、才気溢れる自分だけの導師(メンター)を、この激情家の大男(ゲオルグ)からいかに守り抜くか、ただそれだけを思案していた。


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