軍議①
ヴィルヘルム同様若き天才『爆炎術師』と称されるゲオルグ、その涙ながらの訴えに小夜は軍議に参加することになった。小夜が聞き及んだところでは、この世界で女性が軍議に参加するなど前代未聞、それほどまでにこの世界の女性は戦闘から遠ざけられていた。歩いて兵舎へと向かうゲオルグと小夜、そして常に二人を結んだ直線の中間に身を置き、絶対に小夜を渡さない意思を表すヴィルヘルム、三人は奇妙な陣形で兵舎に辿り着いた。
軍議が行われる兵舎の会議室、長方形につなげられたテーブルの奥には先日小夜の前で大泣きに泣いた領主が座っていた。小夜は彼を最高司令官と見受けた。そして長方形を囲むように将校と呼ばれる兵士たちが並ぶ、それは小夜が会ってきた兵士たちよりは年上、30~50代と思われた。小夜とゲオルグ、そしてその真ん中を譲らないヴィルヘルムは領主の向かい側の席に並んで座った。
「まずはお礼を申し上げたい。サヨ殿。」
領主が口を開いた。
「貴女のおかげで、兵士が死ななくなった。そして療養院から兵舎に戻る兵士たちが力強い姿で戻るようになった。結果兵士たちは負傷を恐れなくなり、今まで以上に勇敢にその武を振るうことができるようになった。」
小夜に対し深々と輝きを伴う頭を下げた領主はニヤリとしながら顔を上げていった。
「兵士たちが貴女を呼ぶ名で私も称えよう。」
「療養院の天使に栄光あれ!!」
その言葉は小夜を真っ赤に染め上げ、ヴィルヘルムにこれでもかと言わんばかりのドヤ顔をもたらし、将校たちの拍手喝采を呼んだ。




