城壁前の戦い①
腹の底に響くような爆発音、新しい家族エルフェリンを抱きかかえながらベッドに眠っていた小夜は思わず飛び起きた。
窓から外に顔を出した小夜は城門であろう方向に走っていく兵士たちを見た。状況から類推するに猪頭鬼の襲撃を受けているのだろう。
≪先ほどの爆発音は『爆炎術』と呼ばれるものだろうか?≫
そんな想像をしながら身支度を整えていると、
「ご無事ですか、導師。」
と外から爆音にも負けない声が響いた。小夜の身を心配したヴィルヘルムが慌てて駆け付けたのだ。小夜の家は城塞都市オストプロシアの中心近くに位置しているわけで、無事に決まっているわけだがヴィルヘルムはわざわざ安否確認に来たわけだ。無事の確認が終わってほっとしながらもヴィルヘルムは続けた。
「私はこれから城門前に向かいます。導師、絶対家から出ないでください。城門前は戦闘が行われています。エルフェリン、お前も出るな。導師を全力でお守りしろ。」
ヴィルヘルムの言葉に小夜は現実を突き付けられた。この世界に来てからずっと夢見心地、絵本の世界にいる気分であった。しかしながらこの戦闘がこの世界の現実、猪頭鬼との戦いがこの世界の真実であると思い知らされた。




