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オストプロシアの早春③

「というわけで偵察隊は南側の探索を始めています。」


 誰に問われたわけでもなく今日も療養院の昼食会兼会議に参加し勝手に説明を始めた巨漢『爆炎術師』ゲオルグ、そしてそれを迷惑そうに見つめるヴィルヘルム、そしてそんな二人に呆れるその他の面々。ゲオルグの話では北の探索にて川を発見したことから、城塞都市オストプロシアの南側を新たな目的として探索を始めているらしい。


「北には川や海があるようですが、南には何があるのでしょうか?」


 テオドールが呈した疑問に、ゲオルグは胸を張って答えた。


「未知があるのです。これまで猪頭鬼(オーク)に阻まれ足を踏み入れることも出来なかった、未踏の地、そこは我々の探求心を満足させるもので溢れていることでしょう!!」


「なにもないかも知れないですよね。」


 ヴィルヘルムが挟んだ嫌味を意にも解せず、ゲオルグは続けた。


「これまで城壁の中に閉じ込められていたも同然の我々、そんな我々にとっては外の世界は浪漫(ロマン)そのものなのです。」


≪長く城外に出られなかったから、はしゃぐのも無理ないか。≫


 小夜はゲオルグが熱弁を振るう理由をなんとなく理解した。ゲオルグの言う通り外の世界を探索するのは無駄ではない。事実北側の探索では川を見つけ、そしてそれと繋がる海を見つけた。城塞都市オストプロシアの南にも人間生活に利する発見があるかも知れない。これまでは猪頭鬼(オーク)からいかに人間社会を守るかしか考えていなかった兵士たち、その任務からおそらくは解放されたであろう彼らは暇を謳歌できるようになったのである。


猪頭鬼(オーク)は滅びたんでしょうか?」


 小夜がゲオルグに尋ねてみた。小夜はおぞましいほどに人間を殺し続けていた猪頭鬼(オーク)の再来が心配であった。


「・・・・・・、残念ながらまだ存在するでしょう。元々城塞都市ケルニヒベルグには人間が住んでいたのです。そこを猪頭鬼(オーク)が襲撃し、新しい根城にしていたわけですから、その前に住んでいた住処が残っていると思われます。」


 ゲオルグは続けた。


「我々の探索は新たな猪頭鬼(オーク)の巣窟を探すことも含まれています。探し出して殲滅しなくてはなりません。我々は勝たなくてはならないのです。」


 叫ぶように締め括ったゲオルグは持っていたビールジョッキを高く掲げ、そして勢いよく飲み干した。ここにいた誰もがゲオルグの言う猪頭鬼(オーク)の殲滅を切に願った。

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