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オストプロシアの早春②
季節は小夜が感じる通り春に向かっており、城塞都市オストプロシア近隣の氷も解け始めていた。春には昨冬攻め落とした城塞都市ケルニヒベルグの再興が計画されていたが、周囲にはかつて呪われし大地と呼ばれた破傷風菌の巣窟があり、凍土が解けることでその発症が危ぶまれていた。しかしこの対策として、兵士たちは夏冬に関わらず足全体を覆う長い下衣を履くことが決まり、これにより下肢の擦過傷による破傷風菌感染リスクが減少した。兵士たちは温かい春になっても安心して城塞都市ケルニヒベルグへ向かうことが出来る様に工夫がなされていた。
帝都方面から城塞都市オストプロシアへのがけ崩れで通れなくなった一本道は、少しずつではあるがその往来が可能となっていた。結果滞っていた物資の補充も再開され、オストプロシアの兵士たちを安堵させていた。これまで補給に頼り切っていた城塞都市オストプロシアだったが、これまでと違い川との往来の安全が確保できたため食料としての魚、そして新鮮な水を手に入れることが出来る様になっていた。さらにはスモークサーモンという珍味まで。人間たちが命がけで勝ち取った平和は彼らの生活を豊かにした。そして酒宴の肴として小夜の食卓をも豊かにした。




