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オストプロシアの早春①

≪この世界に来て良かったなぁ。≫


 厳寒期を越え、少しずつ春に向かっている城塞都市オストプロシア、まだまだ朝晩は冷え込むが窓から新鮮な空気を取り込めるこの街を窓越しに眺める小夜。朝のさわやかな空気を満喫しながら小夜はあらためて感謝した。


≪この街にはスギが無いのね。≫


 そう、小夜は元の世界で重度の花粉症に悩まされていた。前の世界にいた小夜はどんな気象予報士よりも早く春の訪れを感じていた。声はガラガラに枯れ、逆に鼻水は枯れることを知らぬかの様に湧き出し、目はウサギのごとく真っ赤に染まる。それが春における小夜の常だった。アレルギーを抑える薬はもちろん定期内服しつつ点眼と点鼻を励行し、アレルゲン免疫療法(アレルギーの原因となる物質を定期的に投与し、アレルギーの原因に反応しない体質にする体質改善療法)も受けた。民間療法にさえも(すが)ったが、どれ一つ奏功(そうこう)しなかった。物心ついたころから大嫌いであった春、その訪れをこんなに快適に受け入れられたのはおそらく生まれて初めてだろう。小夜はもう一度春を迎えつつある美しい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。


≪花粉の無い春って最高。≫

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