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海に繋がる川③

「大変なことになりました。」


 青白く変化したその精悍な顔つきを歪めながら、療養院へ戻ってきたゲオルグが話し始めた。


「帝都への道が、先日がけ崩れで閉ざされたらしいのです。」


 ゲオルグの説明によれば、プロイゼ帝国中心へと向かう唯一の道ががけ崩れで通行止めになってしまったらしい。


≪そんなに青ざめる話?≫


 小夜だけがキョトンとしている中、一同はこの状況がいかに深刻であるかを理解しているようだ。そう、この中で帝都方面から城塞都市オストプロシアに続く道を通ったことが無いのは小夜のみ、だから小夜はことの深刻さを呑み込めなかった。


「城塞都市オストプロシアは、帝都からの補給に頼っていました。 道が無くなれば通行が出来なくなります。物資の補給もままならなくなるのです。」


  ヴィルヘルムの丁寧な説明に小夜はようやく理解した。補給が無くなれば前線基地としての機能しか持たない城塞都市オストプロシアはあっという間に干上がってしまう。急遽食料を自前で確保する必要に駆られたわけだ。


「海や川の魚を捕まえるのはどうでしょう?」


 テオドールがヴェルナーの顔を覗き込みながら言った。するとヴェルナーが苦虫を嚙み潰したような顔で答えた。


「道具が無い、釣り竿や糸、釣り針もない。どうやって捕るんだよ。」


 ヴェルナーが続けた。


「多分猪頭鬼(オーク)たちは川に入って手づかみで捕ってたんでしょうな。熊みたいに。でも俺たち人間には無理です。この寒さで川に入って、魚を探して、槍で突く。そんなことをしている間に体が冷え切って動けなくなっちまいます。」


 小夜は考え込んだ。確かに道具がないなら魚を捕らえるのは難しいだろう、魚捕りの経験もない兵士たちの槍にかかるほど魚たちものんびりしておるまい。


≪金魚すくいみたいには行かないか。≫


 川の中から魚を掬い上げるのをイメージしていた小夜は、思案に耽る巨漢ゲオルグを見てふと作戦を思いついた。


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